甘々とロマンス中毒
すっかりご機嫌になった私は、ホットケーキに蜂蜜をかけて、また口に運ぶ。

「夜ご飯、なにが食べたい?」

「うーん、うーん…ふわふわオムライスと、グラタンとー…エビフライ。シュークリームも食べたい!クッキーと、クリームが入ってるやつー」


私の好きなオムライス、お兄ちゃんの好きなグラタンをリクエストする。エビフライとシュークリームは二人とも好きなの。


「オムライスにエビフライのせようか。グラタンも作るね」


ママのスマホがピロンと鳴った。画面を見るママの顔が、嬉しそうにふにゃって緩んで可愛い。パパかなぁ。


「パパがシュークリーム買って来てくれるって」

「やったぁ。一咲も、ママのお手伝いするね(ふふ。やっぱりパパだった〜)」

「ありがとう。パンケーキ食べたら、グラタンから作ろっか」

「はあい」


「ねぇねぇ、ママ」と、乱雑になった私のお絵描きセットを片付けるママに聞く。ママが手を止めて、私の方を向いた。ママの耳元でお話するの。


「……オムライス上手に作れるようになったら、あやちゃん、一咲のことお嫁さんにしてくれるかなぁ」


ママから離れて、私は首をことんと傾ける。

「あやちゃんね、オムライス好きなんだって。お兄ちゃんが言ってたよ」そう続けるとママが「そうなの?」って尋ねるから、私は大きく頷いた。


「だから一咲も最近、ずうっとオムライス食べてるんだね」

「食べちゃってる」

ママが口元に手を添えて、ふふと柔らかく笑う。

「ふわふわオムライスが美味しくできる魔法、ママが教えるね。一咲、頑張れる?」

「うんっ。がんばる!」


この日、ママから教わったふわふわオムライスは私の得意料理の一つになった。
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