甘々とロマンス中毒
物知りなお兄ちゃんは教えてくれた。


໒꒱·̩͙


『あやちゃん、学校休んでるの?』

『そ。仕事忙しいらしい。ドラマの撮影もあるんだってさ。あやみくん、凄いよね。スーパースターじゃん』

ソファで寝転がるお兄ちゃんは、空中でバレーボールを操る。私は宿題を放置してあやちゃんのことを考える。胸がぽかぽかする。

『私、ノート取る係する!(そしたら、あやちゃんにお届けもできる…!)』

『どうやってするの?一咲、まだ中学生じゃん。高校に不法侵入でもするつもり?オレは手伝わないよ』

『む〜〜…。お兄ちゃんのいじわる』

『大学生になったらノート係できるよ(多分)』

『ほんとっ!?』

『ウン。だから、後6年頑張れ』

お兄ちゃんと話してわかったこと。

私とあやちゃんは4歳も離れてるから、出来ないことがたくさんある。

・同じ制服を着て登下校
・スタバでテスト勉強
・部活のマネージャー
・夏休みのデート(図書館で課題、夏祭り、プールなど。ハッピーセットの詰め合わせみたい)

“年下・年の差”を理由に、俯いてばかりじゃなにも変わんない。くよくよしてる間に、あやちゃんは先を歩いていくだけ。私は走らなくちゃいけない。

その日の夜、ベッドの端っこ。あやちゃんが誕生日にくれた、クマのぬいぐるみを抱きしめる。きゅ、と唇を結んで、ぬいぐるみを引き寄せて、鼻先に小さなキスを落とした。

待っててね、王子さま。
早く追いつくように頑張るね。
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