甘々とロマンス中毒
一咲は、柔らかな笑い声を膨らませ、最近ハマってるスマホゲームや、推しているキャラクターのことを話す。

相槌を混ぜて、興味深く聞いていれば『あ!私の一番の推しは、もちろん、あやちゃんです』と、届けてくれる。

そんなこと思ってくれてたわけ?

健気な一咲が眩しすぎて、問い詰めたてやりたい気もあって。だけど、電話の向こうから小さな欠伸が聞こえたのでやめた。

開いたパソコンの右下に視線を映し、時間を確認する。一咲との通話は30分を超えていた。


「そろそろ終わろうか」

『ううん。へーきだよ?』

「ほんとは眠いんじゃねーの」

『まだ、起きてるもん。眠たくないですよ〜…だ』

最後の“だ”が、やけに弱々しくて、掻き消えそうなんだけど。

「明日、遅刻するよ」

『それは、あやちゃんも同じでしょ〜。ンン〜…むにゃ』

気のせいじゃないな。やっぱり眠いじゃん。

「俺は午後からだから、支障ない」

『あやちゃんだけ、ずるい』

「ずるいヤツでごめんね。だから、一咲が寝落ちするまで付き合うよ」

『ふふ。やったぁ』
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