甘々とロマンス中毒

くらくら

一咲(いさく)便をお届けしま、る》

トークルームに送信後、0.5秒で誤字に気づく。

ひゃっ。緊張のあまり間違えちゃった!

固まったのは一瞬。すぐにピコンッと、可愛い音が鳴った。王子さまは既読も返事も早いらしい。

心の準備、待ったなしだ。私の失敗だらけのメッセージは

《る?》

の、短いメッセージに上書きされる。

その一言に胸がきゅんとなる。体がじんわり熱くなる。頬が緩んでしまうのは、王子さまに恋をしているから。

『る?』だって。かわいー…。
スクショ撮っちゃダメかなぁ。


(さく)、終わった?スマホ返してほしいんですけど」


ひらりと差し出された掌が、視界の端に映った。横を向くと、幼なじみの(あやめ)くんがたいへんつまらなさそうに頬杖をついて私を見る。


「返事きたから、ちょっと待ってほしいです」

「ヤダ、待てない。オレが暇すぎて死ぬ」

「む(意地悪、ケチ)」


菖くんの冷ややかな視線を感じながら、急いで王子さまに返事を送ったの。

《お届けします!》

あやちゃんのお家訪問、本日解禁しました。
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