甘々とロマンス中毒

不純なときめき

「んぅ〜…ももちゃ、おはよー…」

おはようございます、一咲です。

私の朝は、モモちゃん(真っ白のもふもふ猫)の弱々しい猫パンチを貰うことから始まりました。

まず、リビングに降りて家族に挨拶。洗顔とスキンケアをして歯磨きを済ませ、部屋に戻ったら制服に着替えます。

夏の日差しに負けないよう、日焼け止めは念入りに。綺麗に上を向いた睫毛が嬉しくて瞬きをした。

「(今日は三つ編みにしちゃお…!)」

それから、ピンクブラウンの髪を白のリボンできゅっと結ぶ。

よしっ、完成!
日々の“可愛い”に抜かりなく、です。


「いさく〜、ご飯できたよ〜。食べないの?」

「!…はぁい、食べまーす」


ママが柔らかな声で呼びかける。はっとした私は
リュックを背負い、階段を降りた。

お仕事へ行くパパ、朝補習に行くお兄ちゃんが玄関先に立っていて、ママと一葉(かずは)と一緒に見送る。

お兄ちゃんが「また後でな。遅刻すんなよ」と言うので、スマホに視線を落とした。

AM7:00 タイムリミットまで30分。わわっと急いで朝食をとる。

のんびりする暇はないのに、ハムトーストを齧りながら、LINEの通知が鳴らないかなぁ、なんて淡い期待と、ほんのちょっとの妄想に浸るけど王子さまからの連絡は来なくて。

悲しんでもこればかりは仕方ないので、お弁当の玉子焼きをつまみ食い。お腹が膨らめば、気持ちも紛れるの。

見かねたママが「ひとつ足しておくね」と、お弁当箱に玉子焼きを追加してくれた。


「今日は三つ編みにしたの?一咲、上手だね。かわいい」

「ありがと〜」

三つ編みにして大正解。お弁当を受け取って家を出る。

「いってきます」

「いってらっしゃい。気をつけてね」
< 46 / 100 >

この作品をシェア

pagetop