甘々とロマンス中毒
お兄ちゃんの予想通り、ギリギリセーフで出発。
いつもより一本遅い電車に乗ると、運良く座ることができた。

「(よかったぁ。間に合いそうだ)」

ほっと一安心。

ふう…と息を吐いて、肩の力を抜いて、リュックの中でお留守番していたスマホを掌に。LINEのトークルームと睨めっこする。

宛先はもちろん、あやちゃん。

昨日の夜、LINEできなかったから《おはよう》を送りたい気持ちがある反面、今日の夜通話しちゃおうかなと思う、ふわふわな気持ちもあれば、毎日送るのは迷惑だよねと悩む恋心もあって。

……むずかしい。スタンプ送ってみる?

《おはよう》の代わりになる可愛いスタンプ…。

スタンプマークをぽちっと押して探してみる。

ハチワレか、ちいかわで迷ってるところ。
わぁ〜うさぎもいいなぁ。どうしよう。

一個しか持ってなかったちいかわのスタンプも、今ではコンプリート状態だ。

あやちゃんに一方通行なプレゼントした後、今度はあやちゃんから大量のちいかわスタンプがプレゼントされて、私のスタンプ一覧は、あやちゃんから貰ったもので埋め尽くされている。

画面に並ぶ、愛らしいスタンプたちを眺めると、私の心はぽかぽかするの。

「(ハッ。電車の中でめっちゃニヤけてる。…恥ずかしい。へいじょーしん、平常心)」

両手で緩んだ頬を持ち上げる。スマホは再びスカートの上。

頭の中は、どうしたって、あやちゃんのことでいっぱい。
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