甘々とロマンス中毒
「なに持ってきてくれたの?」

「レモンのマドレーヌです」


差し出した紙袋を「さんきゅ」と言い、受け取った。


「すげー、いいにおいする」

「出来立てをお持ちしました」

「やった」

あやちゃんの口元に優しい笑みがのる。単純な私は恋心に染まってしまう。

「上がってく?」

こくこくと頷いた。

𓈒 𓏸𓈒𓂂𓂃♡

きっかけは2日前の些細なこと。

調理実習で作ったチョコマフィンを頬張っている私の隣で、こころちゃんがスマホを見ながら唇を綻ばせた。

「なにかあったの?」と聞けば「今日ね、好きな人と会う約束したんだ」と返ってくる。


「わぁ…っ!デートだね」


ぱちぱち、軽い音で手を叩く私の方が、こころちゃんより浮かれてる。

「ふふ、マフィン渡そうかな」と、そう照れるこころちゃんの頬がほんのり赤らむ。

私は両手で頬杖をついて、こてんと小さく首を横に倒して。

いいなぁ、私もあやちゃんに渡したいな…って、好きな人に会えるこころちゃんが、羨ましく思ったんだ。
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