甘々とロマンス中毒
「あやちゃんは?」

「伊吹んとこに飲みに行く。アイツ、居酒屋でバイトしてんの」

「飲み…!?あやちゃん、お酒飲むの!?」

居酒屋ってこんな時間から開いてるんだ!
18時を過ぎたばっかりだよ?

私の世界とあやちゃんの世界が交わる。
“飲み”も“お酒”も背伸びしたって追いつけない言葉だ。

一歩。距離が詰まる。目線の上にいたあやちゃんが腰を折った。ぐっと私を覗き込んで、ほんの少しの好奇心に弄ばれる瞳をなぞった。


「忘れた?俺、もう二十歳ですよ。一咲さん」

「そうだった…ね!忘れてないよ〜、ふふ」


と、お酒を嗜むあやちゃんが私の脳裏を巡る。
勿論、想像しただけでもかっこいい。

ドラマでよく見るバーとか、お洒落なラウンジも似合うなぁ。

「ほんとに?(別のこと考えてんの?すげえ、目がハートになってる)」

ビール、甘いカクテル、しゅわしゅわのサワー。
なに飲むんだろー。

…はっ、いけない。妄想が捗っちゃった。

あやちゃんが私の頬を指の腹で摘んだ。ふに…と軽く触って、離れて、今度は人差し指が頬の真ん中を柔らかに押す。

「(ん〜〜……むぎゅ)」

あやちゃんは無言である。

「……私のほっぺ触るの好きなの?」

この前も、ずっともちもちしてたよね。
もー、くすぐったい。

「ン。飽きない」

「(触り心地が良いってコト?)」
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