溺愛×5!〜国民的アイドルグループは私を溺愛したいみたいです〜
藍は口を開いては閉じて、開いては閉じてと落ち着きのない行動をしており、本当になにも知らずに入ってきたことがわかった。
まさかとは思ったけれど、知っていたら大変なことになっていただろうから。
彼女は急に文化委員会の資料を押し付けてきた。
驚いている俺に向かって、
「す、すみませんっ!」
と言い放つと、その場を去っていってしまった。
あまりの電光石火のような速度にメンバー全員で呆然としていると、藍がノートを落としていったことに気づいた。
「待って!」
とっさに俺は呼び止めたが、どうやら彼女は気づかずに行ってしまったようだ。
「ちっ、どうすんだよ......。あいつがばらしたら俺達の全部、終わりだぞ?」
「そうだね......だけど、彼女は俺達を見て、謝っていたし、ばらさないんじゃないかな?」
「それもそうか?」
そんな会話を聞きながら、俺はノートを拾い上げようとする。
ノートは落ちた拍子に開いてしまったらしい。