きっと消えない秋のせい
給食を食べながらその様子を見ていると、結菜を中心に輪が広がっていることに否が応でも気づく。

結菜はやっぱり、変わってしまった。

漠然とそう思う。
あたしと結菜は、きっともう前のような関係には戻れないと思う。
どちらかが離れようとしているんだから、既にバランスは崩れてしまっている。

なんか、寂しいな。
このまま、あたしたちは離れていくんだろうか。

あたしはゆっくりとパンを食べている考人を眺める。

「……なに?」

お昼休みの時間。周りはすごく騒がしいはずなのに、考人の声ははっきりと聞こえたんだ。

「考人が傍にいるなーって思って」
「何を当たり前のことを……」
「だって、今まで……当たり前じゃなかったから」

その言葉に、考人の瞳が揺れる。
今まで無視していたことへの罪悪感を感じているのだろうか。
どこか気まずそうな感じだった。

「考人。これからはずっと傍にいてね」
「………」

明確な答えは返ってこなかったが、考人は仕方がなさそうにため息を吐いた。
きっと、それが答えなのだろう。
えへへ。性格が変わっても、優しいところは変わってない。
だから、大好き。
考人のことが、心の底から大事。
あたしと考人は元通りの関係に戻りつつある。
だから、きっと……。
今は遠い位置にいる結菜とも、以前のように笑い合える日が来ると信じていた。
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