きっと消えない秋のせい
*
お昼休みが終わると、先生が来て午後の授業が始まった。
ちらりと視線を横に動かすと、少し離れた席に座っている考人の横顔が見える。
……この距離を、さらに埋めるには。
どうしたらいいんだろうかって、ずっと考えていたんだけど。
でも、いい案なんて、そう簡単に浮かぶはずもなくて。
だけど、ぶつかっていかなきゃ、今の考人を知ることなんてできないと思うから。
彼との距離を、少しずつでいいから埋めていきたいんだもん。
……そこまで考えて、あたしは小さくため息をついた。
「なあ、片岡。今日、ずっと教科書、逆さなの、気づいてねえの?」
休み時間。次の授業の準備をしていたら、近くの席の通谷くんが声をかけてきた。
「へ?」
「ま、どうせ、考人のこと、考えてたんだろ。久しぶりに話せたんだもんな」
「ううっ……」
どうやら、今日ずっと教科書を逆さで持ってたみたい。
恥ずかしさのあまり、あたしは曖昧に笑ってごまかすしかなかった。
「……あの、あのさっ、考人!」
放課後、慌てて声をかけたあたしに、考人は目を見開いて驚いた。
夕陽に染まる教室には、賑やかなクラスメイトたちの声が響いている。
「……なに?」
考人の透き通った瞳に、あたしが映っている。
昨日までとは違い、目を逸らそうとしない。
どこまでもまっすぐなその瞳に、あたしの心が揺れたんだ。
「今度の日曜日、一緒に出かけない?」
これが、今のあたしが考えついた精一杯の案。
考人は何も言わずにあたしを見ている。
「ほら、日曜日はいいお天気になるから、絶好のお出かけ日和だしー。お父さんもお休みだしー」
……顔の温度が、急激に上がっていく。
恥ずかしさで目を逸らしそうになったけど、あたしは必死に耐えた。
「ね、ね、一緒に行こー。久しぶりに一緒に出かけよう」
「別にいいけど」
あたしの誘いに、透き通るような考人の声がそう応えた。
良かったー!
思わず、心の中でガッツポーズをする。
小さくても一歩、近づけた気がした。
お昼休みが終わると、先生が来て午後の授業が始まった。
ちらりと視線を横に動かすと、少し離れた席に座っている考人の横顔が見える。
……この距離を、さらに埋めるには。
どうしたらいいんだろうかって、ずっと考えていたんだけど。
でも、いい案なんて、そう簡単に浮かぶはずもなくて。
だけど、ぶつかっていかなきゃ、今の考人を知ることなんてできないと思うから。
彼との距離を、少しずつでいいから埋めていきたいんだもん。
……そこまで考えて、あたしは小さくため息をついた。
「なあ、片岡。今日、ずっと教科書、逆さなの、気づいてねえの?」
休み時間。次の授業の準備をしていたら、近くの席の通谷くんが声をかけてきた。
「へ?」
「ま、どうせ、考人のこと、考えてたんだろ。久しぶりに話せたんだもんな」
「ううっ……」
どうやら、今日ずっと教科書を逆さで持ってたみたい。
恥ずかしさのあまり、あたしは曖昧に笑ってごまかすしかなかった。
「……あの、あのさっ、考人!」
放課後、慌てて声をかけたあたしに、考人は目を見開いて驚いた。
夕陽に染まる教室には、賑やかなクラスメイトたちの声が響いている。
「……なに?」
考人の透き通った瞳に、あたしが映っている。
昨日までとは違い、目を逸らそうとしない。
どこまでもまっすぐなその瞳に、あたしの心が揺れたんだ。
「今度の日曜日、一緒に出かけない?」
これが、今のあたしが考えついた精一杯の案。
考人は何も言わずにあたしを見ている。
「ほら、日曜日はいいお天気になるから、絶好のお出かけ日和だしー。お父さんもお休みだしー」
……顔の温度が、急激に上がっていく。
恥ずかしさで目を逸らしそうになったけど、あたしは必死に耐えた。
「ね、ね、一緒に行こー。久しぶりに一緒に出かけよう」
「別にいいけど」
あたしの誘いに、透き通るような考人の声がそう応えた。
良かったー!
思わず、心の中でガッツポーズをする。
小さくても一歩、近づけた気がした。