きっと消えない秋のせい
「あのなー。まだ、バスは来ていないだろ。ほんとに、杏はジェットコースターが大好きだな」
そう言った考人の姿は、あたしの瞳を揺らがせるのに十分すぎた。
「ううっ……。突然、その言葉はずるい……」
あたしは意識して声にするけれど、どうしても自信なさげな小声になってしまう。
それに何故か、先程から心臓のあたりがすごく痛い。
ふと、あの事故が起きる前、遊園地に行った時のことを思い出す。
お父さんとお母さんが、あたしと考人を遊園地に連れて行ってくれたんだ。
でも、あの日、あたしたちは些細なことでケンカをしてしまったんだよね。
『おい、杏、待て。いい加減、ジェットコースターばかり見てないで、俺の方、向けよ』
園内をずんずん進んでいくあたしに対して、考人が慌てて声をかけた。
『なんでよ』
『いいからさ』
『むっ、邪魔しないで』
『ほんとに、杏はジェットコースターが大好きだな』
あの日の輝きを思い出して、目の奥が思わず、じわっと熱くなる。
あの時はあたしが考人の顔を直視できず、目をそらし続けていたっけ。
ザー……。
その時、突如、雨がバス停の屋根に容赦なく降りしきる。
「ええっ!? なんで? 雨が止みますように、ってお願いごとをしたのに?」
お願いごとをしたから、今日は一日中、晴れているはずだ。
今までそうだった。
なのに、どうして?
その時――。
『それは、私が君のお願いごとを邪魔しているからだよ』
「……え?」
雨の音に混じって、誰かがそう言ったような気がしたから。
あたしは思わず、口をポカンと開けてしまったんだ。
でも、その声が聞こえたのはあたしだけではなかったみたい。
そう言った考人の姿は、あたしの瞳を揺らがせるのに十分すぎた。
「ううっ……。突然、その言葉はずるい……」
あたしは意識して声にするけれど、どうしても自信なさげな小声になってしまう。
それに何故か、先程から心臓のあたりがすごく痛い。
ふと、あの事故が起きる前、遊園地に行った時のことを思い出す。
お父さんとお母さんが、あたしと考人を遊園地に連れて行ってくれたんだ。
でも、あの日、あたしたちは些細なことでケンカをしてしまったんだよね。
『おい、杏、待て。いい加減、ジェットコースターばかり見てないで、俺の方、向けよ』
園内をずんずん進んでいくあたしに対して、考人が慌てて声をかけた。
『なんでよ』
『いいからさ』
『むっ、邪魔しないで』
『ほんとに、杏はジェットコースターが大好きだな』
あの日の輝きを思い出して、目の奥が思わず、じわっと熱くなる。
あの時はあたしが考人の顔を直視できず、目をそらし続けていたっけ。
ザー……。
その時、突如、雨がバス停の屋根に容赦なく降りしきる。
「ええっ!? なんで? 雨が止みますように、ってお願いごとをしたのに?」
お願いごとをしたから、今日は一日中、晴れているはずだ。
今までそうだった。
なのに、どうして?
その時――。
『それは、私が君のお願いごとを邪魔しているからだよ』
「……え?」
雨の音に混じって、誰かがそう言ったような気がしたから。
あたしは思わず、口をポカンと開けてしまったんだ。
でも、その声が聞こえたのはあたしだけではなかったみたい。