きっと消えない秋のせい
*
でも、遊園地の近くのバス停に降りても、雨は降り続いていたんだ。
遊園地前のバス停の屋根は小さい。ときおり、考人の肩に当たるのをドキリと感じる。
近い……。
考人との距離が近い。
わたわたと焦っても、雨はいっこうに止む気配はない。
えーい。傘があるから大丈夫。
……と思ったけど、この大雨じゃ傘をさしてもきっと、びしょ濡れになってしまう。
「雨がぜんぜん止まないー。こうなったらー!」
あたしは考人の横に立って、遊園地までの距離を見つめる。
黙ってその様子を見ていた考人に、あたしは言った。
「考人、お願いごとをしたら、すぐにチケット売り場まで走ろ!」
「……別にいいけど」
ザー……という雨音だけが、あたしと考人の周りを包んでいる。
『もう一度、お願い。今すぐ雨が止みますように!』
あたしは再び、手をぱんぱんと叩いて、心の中で強く祈った。
降り続いていた雨が嘘のようにぴたりと止んだその瞬間――。
「杏」
「え……?」
考人があたしの腕をつかむ。
そして、戸惑うあたしの手を引っ張り、一気に走り出したんだ。
考人の方が走るのは速いけど、今はあたしにペースを合わせてくれる。
「おーい! 二人とも慌てなくても、遊園地は逃げないんだぞ!」
一人置いてきぼりを食らったお父さんも慌てて、追いかけてきた。
みんなで走っていると、屋根のあるチケット売り場が見えてくる。
……もうすぐだ。
「はあはあ、着いた……」
あたしたちが何とかチケット売り場にたどり着いたその途端。
ザー……。
視界が見えなくなるほど、雨がまた激しくなっていく。
恐らく、今日のニュースは不思議なお天気で持ちきりだろう。
でも、一体、誰があたしのお願いごとを邪魔しているのかな?
あたしは周辺を流し見るようにして確認する。
視線を巡らせても、それらしき存在は見当たらない。
不気味な静寂だけがあたしたちを包んでいた。
また、邪魔してくるかも。
だけど、遊園地は屋根つきの通路があるので大丈夫。
でも、遊園地の近くのバス停に降りても、雨は降り続いていたんだ。
遊園地前のバス停の屋根は小さい。ときおり、考人の肩に当たるのをドキリと感じる。
近い……。
考人との距離が近い。
わたわたと焦っても、雨はいっこうに止む気配はない。
えーい。傘があるから大丈夫。
……と思ったけど、この大雨じゃ傘をさしてもきっと、びしょ濡れになってしまう。
「雨がぜんぜん止まないー。こうなったらー!」
あたしは考人の横に立って、遊園地までの距離を見つめる。
黙ってその様子を見ていた考人に、あたしは言った。
「考人、お願いごとをしたら、すぐにチケット売り場まで走ろ!」
「……別にいいけど」
ザー……という雨音だけが、あたしと考人の周りを包んでいる。
『もう一度、お願い。今すぐ雨が止みますように!』
あたしは再び、手をぱんぱんと叩いて、心の中で強く祈った。
降り続いていた雨が嘘のようにぴたりと止んだその瞬間――。
「杏」
「え……?」
考人があたしの腕をつかむ。
そして、戸惑うあたしの手を引っ張り、一気に走り出したんだ。
考人の方が走るのは速いけど、今はあたしにペースを合わせてくれる。
「おーい! 二人とも慌てなくても、遊園地は逃げないんだぞ!」
一人置いてきぼりを食らったお父さんも慌てて、追いかけてきた。
みんなで走っていると、屋根のあるチケット売り場が見えてくる。
……もうすぐだ。
「はあはあ、着いた……」
あたしたちが何とかチケット売り場にたどり着いたその途端。
ザー……。
視界が見えなくなるほど、雨がまた激しくなっていく。
恐らく、今日のニュースは不思議なお天気で持ちきりだろう。
でも、一体、誰があたしのお願いごとを邪魔しているのかな?
あたしは周辺を流し見るようにして確認する。
視線を巡らせても、それらしき存在は見当たらない。
不気味な静寂だけがあたしたちを包んでいた。
また、邪魔してくるかも。
だけど、遊園地は屋根つきの通路があるので大丈夫。