きっと消えない秋のせい
「……なに?」
「あなた、特別扱いされているからって、あまり調子に乗らないでくれる?」
結菜は不機嫌そうに言う。
いつも教室にいる時の明るい声とは一転して、冷ややかな声音だった。
「僕には、ある程度の自由が認められている。気軽に振る舞ってもいいはずだ」
「それは分かっているけど、あまり不必要に物事に関与したり、口出したりしないでほしいの」
結菜の刺々しい言い方に、考人は顔をしかめる。
「あなたのせいで事実が発覚したら、とばっちりを食うのはわたしたちなんだから。もう少し立場をわきまえてよね」
結菜は一息にそうまくし立てた。
考人と結菜の視線がかち合う。互いに緊迫した空気が流れた――その時。
「どういうこと?」
そんな言葉があたしの口からこぼれていたんだ。
その声にはっとして、考人と結菜はあたしの方を見つめる。
「うかつに話しすぎたわね。でも、あなたも同罪よ。片岡さん」
「え……?」
結菜から思いがけないことを言われて面食らってしまった。
「あなたがいつまでも深瀬くんにつきまとうから、こんなことに……。余計なことばかりしてくれるわね」
「……ゆ、結菜、ほんとにどうしちゃったの?」
結菜の冷めた眼差しに、あたしはびくっと肩を震わせる。
それはまるで、あたしに考人から離れてほしいと言ったも同然のように聞こえたからだ。
やっぱりおかしい。
結菜は、こんなふうに誰かを責めるような言い方なんて絶対にしなかった。
それなのにどうして?
……分からない。
性格が変わった理由なんて何も分からない。
特別な友達なのに。
親友なのに。
結菜がとても遠い人に見える。
それがすごく悔しくて、もどかしくて嫌だった。
「とにかく、言いたいことはそれだけだから」
「結菜、待って――」
あたしが言い終わるのも待たず、結菜はくるりと背を向ける。
そして、声に驚いて振り返る生徒たちの中をすり抜けて教室に戻っていった。
「あなた、特別扱いされているからって、あまり調子に乗らないでくれる?」
結菜は不機嫌そうに言う。
いつも教室にいる時の明るい声とは一転して、冷ややかな声音だった。
「僕には、ある程度の自由が認められている。気軽に振る舞ってもいいはずだ」
「それは分かっているけど、あまり不必要に物事に関与したり、口出したりしないでほしいの」
結菜の刺々しい言い方に、考人は顔をしかめる。
「あなたのせいで事実が発覚したら、とばっちりを食うのはわたしたちなんだから。もう少し立場をわきまえてよね」
結菜は一息にそうまくし立てた。
考人と結菜の視線がかち合う。互いに緊迫した空気が流れた――その時。
「どういうこと?」
そんな言葉があたしの口からこぼれていたんだ。
その声にはっとして、考人と結菜はあたしの方を見つめる。
「うかつに話しすぎたわね。でも、あなたも同罪よ。片岡さん」
「え……?」
結菜から思いがけないことを言われて面食らってしまった。
「あなたがいつまでも深瀬くんにつきまとうから、こんなことに……。余計なことばかりしてくれるわね」
「……ゆ、結菜、ほんとにどうしちゃったの?」
結菜の冷めた眼差しに、あたしはびくっと肩を震わせる。
それはまるで、あたしに考人から離れてほしいと言ったも同然のように聞こえたからだ。
やっぱりおかしい。
結菜は、こんなふうに誰かを責めるような言い方なんて絶対にしなかった。
それなのにどうして?
……分からない。
性格が変わった理由なんて何も分からない。
特別な友達なのに。
親友なのに。
結菜がとても遠い人に見える。
それがすごく悔しくて、もどかしくて嫌だった。
「とにかく、言いたいことはそれだけだから」
「結菜、待って――」
あたしが言い終わるのも待たず、結菜はくるりと背を向ける。
そして、声に驚いて振り返る生徒たちの中をすり抜けて教室に戻っていった。