きっと消えない秋のせい
*
学校の校門をくぐると、登校中の生徒の姿がちらほら見えてきた。
昇降口に入り、隣にいる考人のことを思う。
すると淡く優しい時間が流れて、じんわりと心に温かさが広がっていった。
考人はあたしの一番好きな人だから。
ひそかに心の中で願掛けする。
『お願い。これからもどうか、考人と一緒に楽しく過ごせますように』
そう願いながら、あたしは自分の下駄箱をあけた。
しかし、その瞬間、あっさりとその願いは打ち砕かれてしまうことになる。
「あれ?」
上履きの上。
下駄箱にはあまり相応しくない封筒が、ぽつんと置かれていたんだ。
わわっ、なにこれ?
焦ったあたしはこっそりと封筒を確認する。
差出人の名前はどこにも書かれていない。
「誰からだろう?」
中を確認すると、そこには一枚の便せんが入っている。
あたしは恐る恐る便せんを開いた。
『深瀬孝人と天宮結菜にこれ以上、関わるな』
そう――大きく文字が書かれていた。
「なに……これ?」
思わず、あたしの指が震える。
まるで警告みたい。
何だか嫌な予感しかしないんだけど。
「杏」
不意にぽつりと声が聞こえた。
驚いて振り返ると、心配そうな表情であたしを見ている孝人がそこにいたんだ。
「何かあった?」
「……孝人」
胸がぎゅっと熱くなる。
孝人の揺れる瞳に、否応なしにあたしの胸が高鳴っていく。
でも……。
『深瀬孝人と天宮結菜にこれ以上、関わるな』
その文字が容赦なく、あたしの胸を突き刺してくる。
怖い。
便せんをぎゅっとつかむ。
けど、一年前のことを思い出し、心臓の動きが激しくなる。
「下駄箱の中に手紙があって……『孝人と結菜にこれ以上、関わるな』って書かれていた……」
声が震える。
だけど、もう、あたしの言葉は止まらなかった。
だって、こんな嫌がらせの手紙なんかに負けたくなかったから。
「お願い、孝人……どこにも行かないで。また、離ればなれになるなんて嫌だよ……。あたし、孝人に傍にいてほしい……」
大切なものはあの事故以来、いつだって、その手をすり抜けていく。
だから――。
これ以上は失いたくはない。
失わないように全部、守りたいから。
「怖いの。もう二度と孝人を失いたくない……」
あたしは決して、孝人を見つめることをやめない。
だって、孝人は、あたしの世界のすべてだから……。
だからこそ、
学校の校門をくぐると、登校中の生徒の姿がちらほら見えてきた。
昇降口に入り、隣にいる考人のことを思う。
すると淡く優しい時間が流れて、じんわりと心に温かさが広がっていった。
考人はあたしの一番好きな人だから。
ひそかに心の中で願掛けする。
『お願い。これからもどうか、考人と一緒に楽しく過ごせますように』
そう願いながら、あたしは自分の下駄箱をあけた。
しかし、その瞬間、あっさりとその願いは打ち砕かれてしまうことになる。
「あれ?」
上履きの上。
下駄箱にはあまり相応しくない封筒が、ぽつんと置かれていたんだ。
わわっ、なにこれ?
焦ったあたしはこっそりと封筒を確認する。
差出人の名前はどこにも書かれていない。
「誰からだろう?」
中を確認すると、そこには一枚の便せんが入っている。
あたしは恐る恐る便せんを開いた。
『深瀬孝人と天宮結菜にこれ以上、関わるな』
そう――大きく文字が書かれていた。
「なに……これ?」
思わず、あたしの指が震える。
まるで警告みたい。
何だか嫌な予感しかしないんだけど。
「杏」
不意にぽつりと声が聞こえた。
驚いて振り返ると、心配そうな表情であたしを見ている孝人がそこにいたんだ。
「何かあった?」
「……孝人」
胸がぎゅっと熱くなる。
孝人の揺れる瞳に、否応なしにあたしの胸が高鳴っていく。
でも……。
『深瀬孝人と天宮結菜にこれ以上、関わるな』
その文字が容赦なく、あたしの胸を突き刺してくる。
怖い。
便せんをぎゅっとつかむ。
けど、一年前のことを思い出し、心臓の動きが激しくなる。
「下駄箱の中に手紙があって……『孝人と結菜にこれ以上、関わるな』って書かれていた……」
声が震える。
だけど、もう、あたしの言葉は止まらなかった。
だって、こんな嫌がらせの手紙なんかに負けたくなかったから。
「お願い、孝人……どこにも行かないで。また、離ればなれになるなんて嫌だよ……。あたし、孝人に傍にいてほしい……」
大切なものはあの事故以来、いつだって、その手をすり抜けていく。
だから――。
これ以上は失いたくはない。
失わないように全部、守りたいから。
「怖いの。もう二度と孝人を失いたくない……」
あたしは決して、孝人を見つめることをやめない。
だって、孝人は、あたしの世界のすべてだから……。
だからこそ、