きっと消えない秋のせい
「ごめん。大変な時に急に来たりして。それで怒ってるの?」
「……別に」

混乱したあたしは絞り出すように言葉を紡ぐ。

「だったら、なんでそんなに素っ気ないの? いつもなら……」
「杏には関係ないだろ」
「――っ」

まるで拒絶するような冷たい目に驚いて。
あたしは思わず、病室を飛び出してしまったんだ。

「なんでなんで、そんなことを言うの……。いつもなら……」

いつもなら……。

『すげえじゃん。杏のお願いごとは無敵だな』

楽しそうな表情で笑う考人の姿がよぎる。
分からない。
何が起きているのか、分からないよー。
あたしは両手で顔を覆って、声を押し殺してしばらく泣いた。
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