きっと消えない秋のせい
ハンカチを見つけた後、ちょっとした騒ぎになってしまったんだ。
あたしは考人と一緒に、班のみんなのいる広場に向かっていた。

「おーい、考人、片岡!」
「深瀬くん、片岡さん、大丈夫?」

すると、通谷くんと高柳さんが心配そうに声をかけてくれたんだ。

「みんな、心配かけてごめんね」

頭をぺこりと下げると、高柳さんが問いかけてきた。

「片岡さん、探しもの、見つかった?」
「うん。考人が見つけてくれたから」
「そうなんだ。良かったね」

あたしと高柳さんは小さく微笑み合う。

「片岡さんにとって、大切なものなんだね?」
「うん。すごく大切な宝物なんだ」

今回の遠足で、あたしたち班の絆は深まったような気がする。
それを感じて、温かな熱が胸の奥にじわりと広がっていく。

「ま、気にするなよ、高柳。考人と片岡はおしどり夫婦だから」
「そうだったね。おしどり夫婦って言葉、素敵だね」

ドヤ顔した通谷くんに、高柳さんは楽しげに笑った。

「片岡さん、これからもよろしくね」
「うん。高柳さん、これからもよろしく」

高柳さんとは、今まであまり話していなかったけど。
これからどんな関係になれるのか。
大切に育てていきたいものが、もうひとつ増えた気分だった。
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