きっと消えない秋のせい
*
十月に入ると、秋の終わりが近づいてくる。
けれど、その前に5年生クラス対抗バスケットボール大会が待っている。
だから正直、あたしは秋の終わりよりも大会のことで今は頭がいっぱいだ。
あの一件以来、不可解な出来事は起こっていない。
もしかしたら、お願いごとの力で守られているのかも。
これからもお願いごとには、お願いごとで対抗していかなくちゃ。
そう意気込んだ朝。
学校に向かう前にいろいろと考えていたら、隣を歩く考人が話しかけてきた。
「……杏、昨日、返ってきたテスト、どうだった?」
「うーん。あまり……。考人はどう?」
「僕は……」
そう言って、考人がランドセルからテストを取り出す。
うわわっ、まぶしい。
考人は今回もほとんど100点満点だったらしい。
あたしなんて、ほとんどサイアクだったのに。
正直、超ヘコむ……と思っていたら。
「今度、一緒に勉強会する?」
「うん! 勉強会するー!」
あたしはその提案に思わず飛びついてしまった。
あの事故以来、成績がずば抜けていい考人は、学年で一番、頭がいいんだ。
うーん。以前の考人が知ったら、めちゃくちゃ驚きそう。
『はあっ!? 勉強嫌いの俺がクラスで一番、頭がいい? いやいや、あり得ないだろ!』
はああああああ!!
いやいや、大混乱かも……!!!!
よーし、あたしも負けられない。
考人に置いていかれないためにも、勉強会で頑張らなくちゃ。
ふたりきりで勉強会。そう思うとドキドキしてくる。
考人との勉強会のことを考えていたら、あっという間に放課後。
今日はずっと勉強会が楽しみで、顔がゆるみがちだった。
体育館に入ると、クラス全体が大会に向けて落ち着かない雰囲気になっていた。
それに向けての練習も佳境に入っている。
大会に出る考人は、毎日のように体育館に通い、練習に参加していた。
「考人、頑張って!」
あたしも忙しそうな様子の考人をフォローするために、体育館を駆け回っていた。
とはいえ、体育館は他のクラスの人たちも使うから、練習スペースはあまり取れない。
でも、体育館の周りを見たら、意外と多くの人たちが見学している。
そのほとんどが女の子だ。
人気者の考人と通谷くんは、普段から大会に出る人たちか、ファンの女の子たちに取り囲まれていた。
十月に入ると、秋の終わりが近づいてくる。
けれど、その前に5年生クラス対抗バスケットボール大会が待っている。
だから正直、あたしは秋の終わりよりも大会のことで今は頭がいっぱいだ。
あの一件以来、不可解な出来事は起こっていない。
もしかしたら、お願いごとの力で守られているのかも。
これからもお願いごとには、お願いごとで対抗していかなくちゃ。
そう意気込んだ朝。
学校に向かう前にいろいろと考えていたら、隣を歩く考人が話しかけてきた。
「……杏、昨日、返ってきたテスト、どうだった?」
「うーん。あまり……。考人はどう?」
「僕は……」
そう言って、考人がランドセルからテストを取り出す。
うわわっ、まぶしい。
考人は今回もほとんど100点満点だったらしい。
あたしなんて、ほとんどサイアクだったのに。
正直、超ヘコむ……と思っていたら。
「今度、一緒に勉強会する?」
「うん! 勉強会するー!」
あたしはその提案に思わず飛びついてしまった。
あの事故以来、成績がずば抜けていい考人は、学年で一番、頭がいいんだ。
うーん。以前の考人が知ったら、めちゃくちゃ驚きそう。
『はあっ!? 勉強嫌いの俺がクラスで一番、頭がいい? いやいや、あり得ないだろ!』
はああああああ!!
いやいや、大混乱かも……!!!!
よーし、あたしも負けられない。
考人に置いていかれないためにも、勉強会で頑張らなくちゃ。
ふたりきりで勉強会。そう思うとドキドキしてくる。
考人との勉強会のことを考えていたら、あっという間に放課後。
今日はずっと勉強会が楽しみで、顔がゆるみがちだった。
体育館に入ると、クラス全体が大会に向けて落ち着かない雰囲気になっていた。
それに向けての練習も佳境に入っている。
大会に出る考人は、毎日のように体育館に通い、練習に参加していた。
「考人、頑張って!」
あたしも忙しそうな様子の考人をフォローするために、体育館を駆け回っていた。
とはいえ、体育館は他のクラスの人たちも使うから、練習スペースはあまり取れない。
でも、体育館の周りを見たら、意外と多くの人たちが見学している。
そのほとんどが女の子だ。
人気者の考人と通谷くんは、普段から大会に出る人たちか、ファンの女の子たちに取り囲まれていた。