きっと消えない秋のせい
*
5年生クラス対抗バスケットボール大会当日。
体育館の周りは、大会に出ない人たちで溢れている。
ときおり、体育館のあちらこちらから黄色い声援が飛ぶ。
そのほとんどが孝人たちの応援だ。
うーん。孝人たちの人気はあなどれない。
「よっしゃー!! 絶対に勝つぞー!!」
通谷くんは大会に出る人たちに囲まれて、太陽のような笑顔を振りまいている。
逆に孝人は相変わらずの不愛想な表情のまま、通谷くんたちを見ていた。
それらを横目で見ながら、あたしはきょろきょろと周囲を見回した。
――そろそろ来る頃だ。
あたしたちの最初の対戦は、隣のクラスの人たち。
「うわあっ!」
やがて、あたしの周りから歓声がわき上がる。
隣のクラスの人たちが体育館に入ってきたからだ。
「今日はよろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
先生同士が握手して挨拶する中――。
「通谷巧ってどいつ?」
「お? 俺だけど」
とびきりかっこいい男の子が、興味津々に通谷くんに声をかけていた。
バスケがかなり得意な通谷くんは、他のクラスでも知られているようだ。
「ふーん、君が……」
男の子はボールを持ち、ゴールの前に立った。
半円を描いている白い線の前から、全身を使ってボールを放つ。
すると、くるくると回ったボールはそのまま音を立てずにネットに吸い込まれていった。
「俺は佐東あきら。じゃ、今日はよろしく」
整った顔につやつやの黒い髪。
佐東くんはさわやかにそう言うと、まるで何事もなかったように去っていく。
そのまま体育館で、隣のクラスの人たちと合流してしゃべっているのが目に入る。
「なんだよ、あいつ」
通谷くんは不満そうだったけど、孝人は特に気にしていないみたいだった。
あたしたちが見守る中、いよいよ5年生クラス対抗バスケットボール大会が始まる。
あたしが見るのは、孝人たちが出る男の子たちの対戦だ。
ピーッ!!
試合開始を告げる笛の音が木霊した。
ボールが宙を舞う。
最初にボールを制したのは佐東くん。
クラスの男の子たちの守りをなんなく交わし、巧みなドリブルを見せながら攻めてくる。
「行かせるか!」
通谷くんも負けじと体を張る。
しかし、佐東くんは目にもとまらぬ速さで通谷くんをかわし、シュート体勢に入った。
クラスの男の子たちはシュートを打たせまいと必死に守る。
佐東くんはそれを冷静にかわし、シュートを放つ。
ボールはきれいな半円を描いて。
それが音もたてずにゴールネットをくぐりぬける。
「すごい……!」
その光景に、あたしは全身が泡立つ感覚を覚えた。
5年生クラス対抗バスケットボール大会当日。
体育館の周りは、大会に出ない人たちで溢れている。
ときおり、体育館のあちらこちらから黄色い声援が飛ぶ。
そのほとんどが孝人たちの応援だ。
うーん。孝人たちの人気はあなどれない。
「よっしゃー!! 絶対に勝つぞー!!」
通谷くんは大会に出る人たちに囲まれて、太陽のような笑顔を振りまいている。
逆に孝人は相変わらずの不愛想な表情のまま、通谷くんたちを見ていた。
それらを横目で見ながら、あたしはきょろきょろと周囲を見回した。
――そろそろ来る頃だ。
あたしたちの最初の対戦は、隣のクラスの人たち。
「うわあっ!」
やがて、あたしの周りから歓声がわき上がる。
隣のクラスの人たちが体育館に入ってきたからだ。
「今日はよろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
先生同士が握手して挨拶する中――。
「通谷巧ってどいつ?」
「お? 俺だけど」
とびきりかっこいい男の子が、興味津々に通谷くんに声をかけていた。
バスケがかなり得意な通谷くんは、他のクラスでも知られているようだ。
「ふーん、君が……」
男の子はボールを持ち、ゴールの前に立った。
半円を描いている白い線の前から、全身を使ってボールを放つ。
すると、くるくると回ったボールはそのまま音を立てずにネットに吸い込まれていった。
「俺は佐東あきら。じゃ、今日はよろしく」
整った顔につやつやの黒い髪。
佐東くんはさわやかにそう言うと、まるで何事もなかったように去っていく。
そのまま体育館で、隣のクラスの人たちと合流してしゃべっているのが目に入る。
「なんだよ、あいつ」
通谷くんは不満そうだったけど、孝人は特に気にしていないみたいだった。
あたしたちが見守る中、いよいよ5年生クラス対抗バスケットボール大会が始まる。
あたしが見るのは、孝人たちが出る男の子たちの対戦だ。
ピーッ!!
試合開始を告げる笛の音が木霊した。
ボールが宙を舞う。
最初にボールを制したのは佐東くん。
クラスの男の子たちの守りをなんなく交わし、巧みなドリブルを見せながら攻めてくる。
「行かせるか!」
通谷くんも負けじと体を張る。
しかし、佐東くんは目にもとまらぬ速さで通谷くんをかわし、シュート体勢に入った。
クラスの男の子たちはシュートを打たせまいと必死に守る。
佐東くんはそれを冷静にかわし、シュートを放つ。
ボールはきれいな半円を描いて。
それが音もたてずにゴールネットをくぐりぬける。
「すごい……!」
その光景に、あたしは全身が泡立つ感覚を覚えた。