きっと消えない秋のせい
いつの間にか、点差はわずか。残り時間は1分を切っている。
逆転するために、クラスの男の子たちが必死に戦っていた。
白熱した戦い。
その時、通谷くんが考人にパスを出した。
そして……考人が全力で振り抜いた手から放たれる強烈なシュート。
――ザンッ。
勢いのあるボールが鮮やかにゴールネットに吸い込まれた。

「決まった……」

スリーポイントシュート。
ピーッ。そして、まもなく試合終了の笛が鳴った。

勝った……。

歓声を上げる横で、あたしは呆然としていた。
考人と通谷くんはみんなと一緒に喜びを分かち合っている。
あたしも感動と興奮で、胸のドキドキがおさまらない。

「みんな、すごい……」

まだ、夢うつつな気持ちでぽつりとつぶやく。
隣のクラスの男の子たちは悔しそうにしている。
でも、隣のクラスの先生がみんなの健闘を称えていた。

「考人、最高だったぜ!」
「巧もなー! すごかったぜ!」

通谷くんがにっと笑うと、考人は表情をぱっと明るくした。
二人は互いに拳と拳をぶつけあった。
けど、隣のクラスの男の子たちに勝っても、まだ大会は終わりではない。
ゴールが決まるたびに歓声が上がる。

「みんな、頑張ってー!」

女の子たちは途中で負けちゃったけど、その分、男の子たちの応援に気合いが入っていた。

優勝を決める試合では、クラスの男の子たちも相手の男の子たちもボールの奪い合いを繰り返していた。
最後の最後まで優勝の行方はわからなかった。
そんな中、ボールの奪い合いを制してシュートを決めたのは……考人だった。
< 60 / 92 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop