きっと消えない秋のせい
「小さい頃から、僕の身体は弱かったんだ。幼稚園の頃はまだ良かったんだけど、小学校に入学してからは本格的に病気が悪化して、ほとんど病室で過ごしていた」
「そん、な……」
朔夜くんの言葉で全てが分かってしまったんだ。
幼稚園の頃、みんなの輪に入ることをためらっていたのは、いずれ別れの時が来るって既に分かっていたからって。
「お医者さんから、長くは生きられないと言われた。でも……」
「でも?」
「杏がくれたクレヨンを見た時、僕は生きたいと願った。杏と考人とともに、このまま生き続けていたいと思ったんだ」
――そうだ。
あたしはあの時、持っていたクレヨンを朔夜くんにあげたんだったっけ。
朔夜くんはあたしのクレヨンを宝物にしてくれたんだ。
「……気がついた時には、杏はもう、僕にとって特別だった。他の何にも替えられない存在だったんだ。杏は、僕にとって何よりも希望だった」
どこか寂しそうな眼差し。
ああ、朔夜くんだ。本当の本当に、朔夜くんなんだ。
考人の中身の人が朔夜くんだったなんて、そんな偶然あるのかな。
ううん。あるから、今こうやって彼が目の前にいるんだ。
だから、今こうやって話をすることができているんだよね。
でも、何故、考人の中身が朔夜くんになっているのかな?
ほんとに考人も結菜も、あの事故で亡くなってしまったの?
よく分からないことだらけだった。
でも、それを聞くのは怖い。
また、残酷な事実を突きつけられるかもしれないから。
「杏ー!!」
「杏、ここにいたのね!!」
「杏ちゃん、良かった……!!」
その時、お父さんとお母さん、そして考人のお母さんが息を切らしながら、あたしたちのもとに駆け寄ってきたんだ。
「お父さん……お母さん……」
「杏。お父さんはな、めちゃくちゃ心配したぞ!」
「杏、無事で良かった……」
あたしの震える声をかき消すように。
お父さんとお母さんは泣きながら、あたしを優しく抱きしめてくれた。
その途端。
「……うわああーーん!!」
あたしは再び、声が枯れるまで泣き続けた。
「そん、な……」
朔夜くんの言葉で全てが分かってしまったんだ。
幼稚園の頃、みんなの輪に入ることをためらっていたのは、いずれ別れの時が来るって既に分かっていたからって。
「お医者さんから、長くは生きられないと言われた。でも……」
「でも?」
「杏がくれたクレヨンを見た時、僕は生きたいと願った。杏と考人とともに、このまま生き続けていたいと思ったんだ」
――そうだ。
あたしはあの時、持っていたクレヨンを朔夜くんにあげたんだったっけ。
朔夜くんはあたしのクレヨンを宝物にしてくれたんだ。
「……気がついた時には、杏はもう、僕にとって特別だった。他の何にも替えられない存在だったんだ。杏は、僕にとって何よりも希望だった」
どこか寂しそうな眼差し。
ああ、朔夜くんだ。本当の本当に、朔夜くんなんだ。
考人の中身の人が朔夜くんだったなんて、そんな偶然あるのかな。
ううん。あるから、今こうやって彼が目の前にいるんだ。
だから、今こうやって話をすることができているんだよね。
でも、何故、考人の中身が朔夜くんになっているのかな?
ほんとに考人も結菜も、あの事故で亡くなってしまったの?
よく分からないことだらけだった。
でも、それを聞くのは怖い。
また、残酷な事実を突きつけられるかもしれないから。
「杏ー!!」
「杏、ここにいたのね!!」
「杏ちゃん、良かった……!!」
その時、お父さんとお母さん、そして考人のお母さんが息を切らしながら、あたしたちのもとに駆け寄ってきたんだ。
「お父さん……お母さん……」
「杏。お父さんはな、めちゃくちゃ心配したぞ!」
「杏、無事で良かった……」
あたしの震える声をかき消すように。
お父さんとお母さんは泣きながら、あたしを優しく抱きしめてくれた。
その途端。
「……うわああーーん!!」
あたしは再び、声が枯れるまで泣き続けた。