きっと消えない秋のせい
◆第七章 道果ての先の希望
次の日、あたしは学校を休んだ。
だって、学校に行っても、本物の考人と結菜はいないから。
目を閉じると、考人のまぶしい笑顔が浮かぶ。
そして、ふんわりと笑う結菜の姿がよみがえる。
「……考人、結菜」
天井に向かってつぶやいてみるけど、誰も応えてくれない。
それが悲しくて、あたしはお布団の中にもぐりこんだ。
「ううっ…………」
枕に顔を押しつけて声を殺して泣いた。
あたしは結局、次の日もその次の日もずっと休み続けた。
だって、気がつくと、涙がすぐにこぼれていたから。
様子を見にきたお父さんとお母さんは心配そうにあたしを何度も抱きしめてくれたけど。
つらい気持ちはどうしても消えてくれない。
悲しい気持ちは一向に止まらない。
お父さんとお母さんには、あの事故の真実を話していない。
きっと動揺すると思ったから。
天井を見上げて……ふと思う。
朔夜くんはあれから……どうしているのかな?
もし考人のお父さんとお母さんが、今の考人が朔夜くんだと知ったら……すごく悲しむと思う……。
それとも、考人のお父さんとお母さんは、あの事故の真実を知っているのかな。
まだ、謎だらけだった。
分からないことだらけだった。
あたしの頭の中で……。
あの事故の真実を知った日の朔夜くんの悲しみに満ちた目と寂しげな言葉がぐるぐると巡っていた。
『……うん。今の僕は考人じゃない』
あ……。そういえば、あの時、朔夜くんが告げた言葉って少しおかしいよね。
今の……ってどういう意味なんだろう?
思い出すとそわそわしてしまう。
うーん。考えても考えても分からないよ。
思いきり悩みすぎてお布団にくるまっていた時、ピンポーンと家のインターホンが鳴り響いた。
「……誰か、来たのかな?」
あたしはお布団から出て、まっすぐドアを見る。
やがて、階段を上がってくる足音が聞こえた。
きっと、お母さんだと直感する。
わわ。誰か、来たのかな?
まだ、まぶたが赤くなっていて、昨日までの涙の跡が残っているのに。
「杏、ちょっといい?」
「……うん」
部屋をノックするお母さんに、パジャマ姿のあたしはそう返事した。
お母さんがゆっくりとドアを開ける。
「え……?」
驚きすぎて、あたしは目を見開いた。
だって、お母さんと一緒にいたのは考人……ううん、朔夜くんだったから。
だって、学校に行っても、本物の考人と結菜はいないから。
目を閉じると、考人のまぶしい笑顔が浮かぶ。
そして、ふんわりと笑う結菜の姿がよみがえる。
「……考人、結菜」
天井に向かってつぶやいてみるけど、誰も応えてくれない。
それが悲しくて、あたしはお布団の中にもぐりこんだ。
「ううっ…………」
枕に顔を押しつけて声を殺して泣いた。
あたしは結局、次の日もその次の日もずっと休み続けた。
だって、気がつくと、涙がすぐにこぼれていたから。
様子を見にきたお父さんとお母さんは心配そうにあたしを何度も抱きしめてくれたけど。
つらい気持ちはどうしても消えてくれない。
悲しい気持ちは一向に止まらない。
お父さんとお母さんには、あの事故の真実を話していない。
きっと動揺すると思ったから。
天井を見上げて……ふと思う。
朔夜くんはあれから……どうしているのかな?
もし考人のお父さんとお母さんが、今の考人が朔夜くんだと知ったら……すごく悲しむと思う……。
それとも、考人のお父さんとお母さんは、あの事故の真実を知っているのかな。
まだ、謎だらけだった。
分からないことだらけだった。
あたしの頭の中で……。
あの事故の真実を知った日の朔夜くんの悲しみに満ちた目と寂しげな言葉がぐるぐると巡っていた。
『……うん。今の僕は考人じゃない』
あ……。そういえば、あの時、朔夜くんが告げた言葉って少しおかしいよね。
今の……ってどういう意味なんだろう?
思い出すとそわそわしてしまう。
うーん。考えても考えても分からないよ。
思いきり悩みすぎてお布団にくるまっていた時、ピンポーンと家のインターホンが鳴り響いた。
「……誰か、来たのかな?」
あたしはお布団から出て、まっすぐドアを見る。
やがて、階段を上がってくる足音が聞こえた。
きっと、お母さんだと直感する。
わわ。誰か、来たのかな?
まだ、まぶたが赤くなっていて、昨日までの涙の跡が残っているのに。
「杏、ちょっといい?」
「……うん」
部屋をノックするお母さんに、パジャマ姿のあたしはそう返事した。
お母さんがゆっくりとドアを開ける。
「え……?」
驚きすぎて、あたしは目を見開いた。
だって、お母さんと一緒にいたのは考人……ううん、朔夜くんだったから。