きっと消えない秋のせい
「あの事故で亡くなった人の身体を借りて生き返った人たちは、あの事故以前に交流があった人たちを何かと避けていただろ?」
「……うん」
そういえば、結菜は――あすかみのり先生は、あたしを含めた――あの事故以前に交流があった人たちと関わるのを何かと避けていたっけ。
「あの事故で亡くなった人の身体を借りて生き返った人たちには、その身体の持ち主の記憶はない。だから、記憶を失っていることにして、真実が明らかになるのを避けようとしたんだ」
「記憶喪失のふり……」
朔夜くんの言葉に、あたしははっとした顔になった。
真実という光が、きらきらと身体をまとわりつく感じがした。
「ただ、僕は他の人たちと違って、特別だったから。ある程度の自由が認められていた」
「……特別? そういえば、特別扱いされているって……」
あたしは朔夜くんの言いたいことがよく分からなくて首を傾げる。
すると、朔夜くんは言葉を探すように天井を見上げた。
「今の僕は考人じゃない」
「考人じゃない?」
あたしはさらに意味が分からなくて、同じ言葉を繰り返す。
「でも、僕には考人としての記憶がある。考人としての思いや感情があるんだ」
「どういうこと?」
きょとんとしたあたしに、朔夜くんはどうしたら伝わるのかなと悩む。
「考人の置き土産だと思う。僕が生きたいと願ったように、考人も生きたいと願った。その結果、『考人の魂のかけら』みたいなものが身体に残っていたんだと思う」
「それって、考人は今、朔夜くんと一緒に生きているってこと?」
あたしが恐る恐る尋ねると、朔夜くんはしっかりとうなずいた。
その瞬間、目の奥が熱くなる。感情の全てが震え出す。
「考人……」
名前を呼んだら、こらえていた涙がぽろぽろと流れ落ちる。
じわじわと実感が湧き上がってきた。
「じゃあ、考人は死んでいないんだね……! 生きているんだね……!」
あたしは思わず飛び上がりそうになる。
ええと、つまり、今の考人は、考人の魂と朔夜くんの魂みたいなものがくるくると混ぜ合わさったような状態なのかな。
朔夜くんは考人と繋がっているんだ……って思うと不思議な感じがしてくる。
そこではたと気づいた。
「……うん」
そういえば、結菜は――あすかみのり先生は、あたしを含めた――あの事故以前に交流があった人たちと関わるのを何かと避けていたっけ。
「あの事故で亡くなった人の身体を借りて生き返った人たちには、その身体の持ち主の記憶はない。だから、記憶を失っていることにして、真実が明らかになるのを避けようとしたんだ」
「記憶喪失のふり……」
朔夜くんの言葉に、あたしははっとした顔になった。
真実という光が、きらきらと身体をまとわりつく感じがした。
「ただ、僕は他の人たちと違って、特別だったから。ある程度の自由が認められていた」
「……特別? そういえば、特別扱いされているって……」
あたしは朔夜くんの言いたいことがよく分からなくて首を傾げる。
すると、朔夜くんは言葉を探すように天井を見上げた。
「今の僕は考人じゃない」
「考人じゃない?」
あたしはさらに意味が分からなくて、同じ言葉を繰り返す。
「でも、僕には考人としての記憶がある。考人としての思いや感情があるんだ」
「どういうこと?」
きょとんとしたあたしに、朔夜くんはどうしたら伝わるのかなと悩む。
「考人の置き土産だと思う。僕が生きたいと願ったように、考人も生きたいと願った。その結果、『考人の魂のかけら』みたいなものが身体に残っていたんだと思う」
「それって、考人は今、朔夜くんと一緒に生きているってこと?」
あたしが恐る恐る尋ねると、朔夜くんはしっかりとうなずいた。
その瞬間、目の奥が熱くなる。感情の全てが震え出す。
「考人……」
名前を呼んだら、こらえていた涙がぽろぽろと流れ落ちる。
じわじわと実感が湧き上がってきた。
「じゃあ、考人は死んでいないんだね……! 生きているんだね……!」
あたしは思わず飛び上がりそうになる。
ええと、つまり、今の考人は、考人の魂と朔夜くんの魂みたいなものがくるくると混ぜ合わさったような状態なのかな。
朔夜くんは考人と繋がっているんだ……って思うと不思議な感じがしてくる。
そこではたと気づいた。