きっと消えない秋のせい
◆第八章 秋色注意報
翌朝、髪を整えて階段から降りると、朝食の匂いがただよっていた。
「……おはよう、お母さん」
「……杏、大丈夫なの?」
お母さんはすごく驚いた顔であたしを見た。
泣き腫らしたまぶたのままで、お母さんを見ていたからかもしれない。
お父さんとお母さんには詳しいことを話していないけど。
きっと、悩んでいることの重さに気づいているような気がする。
「うん。昨日、考人に元気をいっぱいいっぱいもらったから……」
「そうなのね」
昨日のことを思い出し、朝から胸がドキドキする。
『今度は、僕たちが杏の想いを守りたいから』
『杏のお願いごと、俺たちに任せておけ!』
朔夜くんと考人の言葉が頭から消えてくれない。
あの事故の真実を知ってから、ずっと落ち込んでいたのに。
あんなに思い悩んでいたことが、二人の言葉でふんわりと和らいでいく。
すごい。
そんなあたしを、お母さんは優しく抱きしめてくれた。
「杏。言いたくないことなら聞かない。でも、言いたくなったら聞くから。お父さんとお母さんは杏の味方だから、いつでも頼ってね」
「……うん」
お母さんの優しい言葉に、あたしは小さくうなずいた。
「さあ、朝ごはんを食べましょう」
「……うん。いただきます」
席に座って、二人で食卓を囲む。
お父さんは朝早くからの仕事でもういない。
「お母さん、すごく美味しいよ……」
「ふふっ、杏、ありがとう」
目玉焼きを乗せたトーストは、片岡家の朝食の定番のメニュー。
でも、今日は何故か、いつもよりも美味しく感じたんだ。
頑張って。応援しているよ。
だから、泣かないで。
そう言っているような甘酸っぱい味だったから。
だから、絶対に負けないって思ったんだ。
朝食を終えると、あたしは学校に出かける準備をする。
「行ってきまーす!」
「気をつけてね」
ランドセルを背負って玄関を出ると、太陽の光がきらきらとまぶしく輝いていた。
「……おはよう、お母さん」
「……杏、大丈夫なの?」
お母さんはすごく驚いた顔であたしを見た。
泣き腫らしたまぶたのままで、お母さんを見ていたからかもしれない。
お父さんとお母さんには詳しいことを話していないけど。
きっと、悩んでいることの重さに気づいているような気がする。
「うん。昨日、考人に元気をいっぱいいっぱいもらったから……」
「そうなのね」
昨日のことを思い出し、朝から胸がドキドキする。
『今度は、僕たちが杏の想いを守りたいから』
『杏のお願いごと、俺たちに任せておけ!』
朔夜くんと考人の言葉が頭から消えてくれない。
あの事故の真実を知ってから、ずっと落ち込んでいたのに。
あんなに思い悩んでいたことが、二人の言葉でふんわりと和らいでいく。
すごい。
そんなあたしを、お母さんは優しく抱きしめてくれた。
「杏。言いたくないことなら聞かない。でも、言いたくなったら聞くから。お父さんとお母さんは杏の味方だから、いつでも頼ってね」
「……うん」
お母さんの優しい言葉に、あたしは小さくうなずいた。
「さあ、朝ごはんを食べましょう」
「……うん。いただきます」
席に座って、二人で食卓を囲む。
お父さんは朝早くからの仕事でもういない。
「お母さん、すごく美味しいよ……」
「ふふっ、杏、ありがとう」
目玉焼きを乗せたトーストは、片岡家の朝食の定番のメニュー。
でも、今日は何故か、いつもよりも美味しく感じたんだ。
頑張って。応援しているよ。
だから、泣かないで。
そう言っているような甘酸っぱい味だったから。
だから、絶対に負けないって思ったんだ。
朝食を終えると、あたしは学校に出かける準備をする。
「行ってきまーす!」
「気をつけてね」
ランドセルを背負って玄関を出ると、太陽の光がきらきらとまぶしく輝いていた。