きっと消えない秋のせい
*
ざわっとどよめく教室。
その日の帰りの会は、いつもと雰囲気が違っていた。
あちらこちらからピリピリした空気が飛んでくる。
どうしたんだろう?
「みんな、今日の放課後は何をするのか、分かっているな!」
その言葉に、クラスのみんながざわめいた。
放課後にすること?
なにそれ?
小林先生は黒板に『放課後にすること』を書いた。
それは――。
『片岡にあの事故の真実を口止めすること』
うわああー!!
恐怖の手紙の次は、恐ろしい授業。
あの病院の院長さん。
なんで、こんなに仰天サプライズが好きな人なのー!!
未来に大きなトラブルしか待ち受けていないお願いごとは、さすがに無理だよ。
あたしがすがるように黒板を見ると、小林先生は熱く語った。
「ま、言ってみれば、全学年参加の鬼ごっこみたいなもんだ。鬼はずっと片岡だけどな」
「は……?」
あたしはその言葉にとどめを刺された気がした。
わーん。全学年参加の鬼ごっこなんて聞いてないよー!!
「みんなが片岡を捕まえられるように、町の人たちにも協力してもらっている。お願いごとに頼っても無駄だぞ」
「それー、サイアクー!!」
うわあ、あんまりだよ!
あの病院の院長さんは、ほんとに容赦がない。
と思っていたら。
「そうそう。もし、片岡が病院の院長室までたどり着くことができたらな。片岡のお願いごとを一つ、かなえてやってもいいらしいぞ」
「え? それって……」
あの病院の院長さんは、既にあたしのお願いごとを知っているってこと?
うわああ、本当に神様みたいだよ!
ほんとによく分からないことだらけだ。
それなのに、小林先生は何事もなかったように今度、行われる全校集会の説明を始める。
だけど、みんなの目はあたしに集中していて、とても居心地が悪かった。
これからどうしたらいいんだろうって、不安がいっぱい。
視線地獄に思わず、くじけそうになったけど。
「あ……」
朔夜くんの優しい目は。
まるで安心していいよ、と言ってくれているようでホッとした。
帰りの会の合間、あたしはひそかに心の中で願掛けする。
『考人と朔夜くんと結菜が、これからずっと、あたしの傍にいてくれますように』
……そうだ。あたしは一人じゃない。
心で繋がっている大切な人たちがいる。
だから、大丈夫。
神様からの挑戦なんかに絶対に負けない!!
「みんなとともに過ごすことができるのなら、あたしはそれだけで強くなれるもん」
あの事故の真実を知る前までは、思うこともなかった願いは不思議と心地よさしかなかった。
ざわっとどよめく教室。
その日の帰りの会は、いつもと雰囲気が違っていた。
あちらこちらからピリピリした空気が飛んでくる。
どうしたんだろう?
「みんな、今日の放課後は何をするのか、分かっているな!」
その言葉に、クラスのみんながざわめいた。
放課後にすること?
なにそれ?
小林先生は黒板に『放課後にすること』を書いた。
それは――。
『片岡にあの事故の真実を口止めすること』
うわああー!!
恐怖の手紙の次は、恐ろしい授業。
あの病院の院長さん。
なんで、こんなに仰天サプライズが好きな人なのー!!
未来に大きなトラブルしか待ち受けていないお願いごとは、さすがに無理だよ。
あたしがすがるように黒板を見ると、小林先生は熱く語った。
「ま、言ってみれば、全学年参加の鬼ごっこみたいなもんだ。鬼はずっと片岡だけどな」
「は……?」
あたしはその言葉にとどめを刺された気がした。
わーん。全学年参加の鬼ごっこなんて聞いてないよー!!
「みんなが片岡を捕まえられるように、町の人たちにも協力してもらっている。お願いごとに頼っても無駄だぞ」
「それー、サイアクー!!」
うわあ、あんまりだよ!
あの病院の院長さんは、ほんとに容赦がない。
と思っていたら。
「そうそう。もし、片岡が病院の院長室までたどり着くことができたらな。片岡のお願いごとを一つ、かなえてやってもいいらしいぞ」
「え? それって……」
あの病院の院長さんは、既にあたしのお願いごとを知っているってこと?
うわああ、本当に神様みたいだよ!
ほんとによく分からないことだらけだ。
それなのに、小林先生は何事もなかったように今度、行われる全校集会の説明を始める。
だけど、みんなの目はあたしに集中していて、とても居心地が悪かった。
これからどうしたらいいんだろうって、不安がいっぱい。
視線地獄に思わず、くじけそうになったけど。
「あ……」
朔夜くんの優しい目は。
まるで安心していいよ、と言ってくれているようでホッとした。
帰りの会の合間、あたしはひそかに心の中で願掛けする。
『考人と朔夜くんと結菜が、これからずっと、あたしの傍にいてくれますように』
……そうだ。あたしは一人じゃない。
心で繋がっている大切な人たちがいる。
だから、大丈夫。
神様からの挑戦なんかに絶対に負けない!!
「みんなとともに過ごすことができるのなら、あたしはそれだけで強くなれるもん」
あの事故の真実を知る前までは、思うこともなかった願いは不思議と心地よさしかなかった。