荒神の贄になりましたが花嫁として溺愛されています~『化け物白うさぎ』と呼ばれた乙女は神の最愛になる
慶悟の発言に白花だけでなく、美月や勇、義母も驚き一斉に引き止める。
「止めて! そんな子、放っておいてください! その子、嘘つきなのよ? 名前だって白花じゃないんです。本当の名は『うさぎ』なんですから!」
「うさぎ? そうなの?」
きょとんとした顔で尋ねてくる慶悟に白花は、
「以前はそう呼ばれていました。『白花』は、高貴な方が名付けてくださった名前なんです」
と答えつつ、慶悟の手を振り払おうとする。
けれど、彼の手は吸い付くように自分の手を掴んでいる。
それどころかますます囚われて、腰まで掴まれて胸元まで引き寄せられてしまう。
「お放しください……! どうか……!」
「慶悟様! そんな女、どこかへやってしまって!」
「慶悟、止めろ。放すんだ」
三人に詰め寄られ慶悟はムッとした顔になる。その様子も頬を膨らませ、本当に子供のようだ。
「なんだよ、白花さんも美月さんも勇も……母親違いの妹だって僕は気にしないよ」
隠していた事実を述べられて、美月、勇、義母が驚き、声を失った。
慶悟は「はぁ」と肩を揺らし、言葉を続けた。
「君の妹君は僕と結婚して一族の中に入るんだ。事前に身辺調査くらいしている。鷹司家として、していない方がおかしい」
「……そうか。しかしその娘はもう、慶悟さんに不向きです」
後からゆっくりやってきた勇蔵が、そう慶悟に諭す。
「不向きとは? じゃあ、美月さんは僕に相応しいと? あはは! 笑っちゃうね。とうの昔に他の男に操を捧げた女が、鷹司家の嫁に相応しいと?」
慶悟の発言に勇蔵と勇は美月を睨む。
美月は、
「違うの! それは無理矢理で……!」
と言い訳するがすぐに父の平手が飛んできて、母に泣きつく。
「お前がしっかり美月を見ていないからだぞ!」
「あなた! 美月の言うことは本当です! 美月が自ら体を開いたわけではありません! そうよね? 美月? だ、だから隠しておいたのです!」
美月は泣きべそをかきながら言葉を続ける。
「何が起きたのかわからなくて……それで、私お母さまに相談して……隠しておきましょうって……。本意ではありません!」
「では誰に奪われたのだ?」
「に、庭師の俊司です……」
「虎之助の息子か。首だな。嫁入り前の娘を……手込めにしおって」
苦々しく呟く父に慶悟は首を傾げた。
それを聞いた慶悟は、不思議そうに目を瞬かせる。
「あれ? もっといるよね?下男の剛とか、勘助とか、あと……料理人の佐輔とか。数人で楽しんでいたという報告もあったけれど?」
「お前……っ、このたわけが!」
夫の激高にか、それとも宝珠と可愛がっていた娘が、隠れて男と遊んでいた事実を聞いたせいか、母はその場で気を失ってしまった。
「屋敷へ連れていけ。お前たちが傷つけた神社の者たちもだ。介抱するんだ」
勇蔵は下男たちに言いつける。
それから震え上がって泣いている美月を慶悟の前に引っ張っていくと、頭を下げた。
「申し訳ない。親の教育が行き届いていなかった。傷物を鷹司家に出すわけにはいかない」
「……いやぁ……、これからいい子になるからぁ、いい妻になるからぁ……慶悟様のお嫁さんにしてぇ……」
真摯に謝罪する勇蔵の横で美月は、べそをかきながら嫌々と駄々をこねている。
「あのさぁ。僕は美月さんが、生娘であろうとがなかろうと関係ないんだけれど」
慶悟は帽子を外し、髪を掻き上げながら飄々と語る。
「むしろ、何も知らない生娘を相手にするより、知ってて自分から動いてくれる方がありがたいね」
なんて言い出した慶悟に、勇は思いっきり溜め息を吐いている。
美月は一瞬にして泣き止み、明るい表情で慶悟に迫っていく。
「じゃあ、じゃあ! 私、このまま慶悟様の妻になっていいのね?」
「まあ、いいけれど、僕としては――そっちの白人の妹さんをもらいうけたいね。そっちも僕にくれるなら、美月さんを妻に迎えてもいい」
慶悟の言葉に、一斉に白花の方に顔を向ける。
「止めて! そんな子、放っておいてください! その子、嘘つきなのよ? 名前だって白花じゃないんです。本当の名は『うさぎ』なんですから!」
「うさぎ? そうなの?」
きょとんとした顔で尋ねてくる慶悟に白花は、
「以前はそう呼ばれていました。『白花』は、高貴な方が名付けてくださった名前なんです」
と答えつつ、慶悟の手を振り払おうとする。
けれど、彼の手は吸い付くように自分の手を掴んでいる。
それどころかますます囚われて、腰まで掴まれて胸元まで引き寄せられてしまう。
「お放しください……! どうか……!」
「慶悟様! そんな女、どこかへやってしまって!」
「慶悟、止めろ。放すんだ」
三人に詰め寄られ慶悟はムッとした顔になる。その様子も頬を膨らませ、本当に子供のようだ。
「なんだよ、白花さんも美月さんも勇も……母親違いの妹だって僕は気にしないよ」
隠していた事実を述べられて、美月、勇、義母が驚き、声を失った。
慶悟は「はぁ」と肩を揺らし、言葉を続けた。
「君の妹君は僕と結婚して一族の中に入るんだ。事前に身辺調査くらいしている。鷹司家として、していない方がおかしい」
「……そうか。しかしその娘はもう、慶悟さんに不向きです」
後からゆっくりやってきた勇蔵が、そう慶悟に諭す。
「不向きとは? じゃあ、美月さんは僕に相応しいと? あはは! 笑っちゃうね。とうの昔に他の男に操を捧げた女が、鷹司家の嫁に相応しいと?」
慶悟の発言に勇蔵と勇は美月を睨む。
美月は、
「違うの! それは無理矢理で……!」
と言い訳するがすぐに父の平手が飛んできて、母に泣きつく。
「お前がしっかり美月を見ていないからだぞ!」
「あなた! 美月の言うことは本当です! 美月が自ら体を開いたわけではありません! そうよね? 美月? だ、だから隠しておいたのです!」
美月は泣きべそをかきながら言葉を続ける。
「何が起きたのかわからなくて……それで、私お母さまに相談して……隠しておきましょうって……。本意ではありません!」
「では誰に奪われたのだ?」
「に、庭師の俊司です……」
「虎之助の息子か。首だな。嫁入り前の娘を……手込めにしおって」
苦々しく呟く父に慶悟は首を傾げた。
それを聞いた慶悟は、不思議そうに目を瞬かせる。
「あれ? もっといるよね?下男の剛とか、勘助とか、あと……料理人の佐輔とか。数人で楽しんでいたという報告もあったけれど?」
「お前……っ、このたわけが!」
夫の激高にか、それとも宝珠と可愛がっていた娘が、隠れて男と遊んでいた事実を聞いたせいか、母はその場で気を失ってしまった。
「屋敷へ連れていけ。お前たちが傷つけた神社の者たちもだ。介抱するんだ」
勇蔵は下男たちに言いつける。
それから震え上がって泣いている美月を慶悟の前に引っ張っていくと、頭を下げた。
「申し訳ない。親の教育が行き届いていなかった。傷物を鷹司家に出すわけにはいかない」
「……いやぁ……、これからいい子になるからぁ、いい妻になるからぁ……慶悟様のお嫁さんにしてぇ……」
真摯に謝罪する勇蔵の横で美月は、べそをかきながら嫌々と駄々をこねている。
「あのさぁ。僕は美月さんが、生娘であろうとがなかろうと関係ないんだけれど」
慶悟は帽子を外し、髪を掻き上げながら飄々と語る。
「むしろ、何も知らない生娘を相手にするより、知ってて自分から動いてくれる方がありがたいね」
なんて言い出した慶悟に、勇は思いっきり溜め息を吐いている。
美月は一瞬にして泣き止み、明るい表情で慶悟に迫っていく。
「じゃあ、じゃあ! 私、このまま慶悟様の妻になっていいのね?」
「まあ、いいけれど、僕としては――そっちの白人の妹さんをもらいうけたいね。そっちも僕にくれるなら、美月さんを妻に迎えてもいい」
慶悟の言葉に、一斉に白花の方に顔を向ける。