荒神の贄になりましたが花嫁として溺愛されています~『化け物白うさぎ』と呼ばれた乙女は神の最愛になる
◆ 物の怪神の花嫁は美しいうさぎの化身
「もお~!悔しい!」
アカリが髪の逆立てながら細い目をつり上げて、ぷんぷんしている。
結構怒りっぽいアカリは、一日に一度はぷんぷんして頭から湯気を出しているせいか、慣れっこになってしまった白花だ。
今日も何か、癇に障ったことがあったのか、ぷりぷりしながら白花の元へきた。
「今日は何に怒ってるの? アカリは」
白花が苦笑しながら尋ねる。
確か昨日は「神使の兎たちに隠しておいた金箔入りのお酒を呑まれてしまった」だった。
一昨日は「神使のうさぎたちが、白花様が作った工夫して作った水引の髪飾りを持って行って無くしてしまった」だった。
と大抵、兎たちとの攻防の末だが。
とにかく辻結神社の神使たちは悪戯ものが多いらしく、荒日佐彦も悪戯されて気を揉んでいた時期があったと聞いている。
――それで白花は初対面で彼に怒鳴られたという経験をした。
そんなことからアカリの本日の怒りも、神使によるものだと思い尋ねたのだ。
しかし今日は違うのか、白花から視線を逸らしもごもごと口を動かすだけだ。
「どうしたの? また兎たちに悪戯されたんじゃなくて?」
「いいえ、今日はまだです。またよからぬ事を考えていると思いますが」
と言うくらいだから、兎たちに対して警戒は解いていない。
「私には言えないことなのかしら? 愚痴くらい聞いてあげられると思うわ」
「白花様にいつも愚痴を聞いてもらっていて、感謝するくらいでは足りないくらいです! ……でも、今回は……」
アカリの言い方にピンときた。
「もしかしたら、私に関してかしら?」
フルフルと首を横に振っても、顔を青ざめているのだから説得力がない。
なので更に追及する。
「私のことでアカリは怒っているのね?」
「いいえ! 白花様に怒っているのではなくて、白花様のことを悪く言う人間に怒っているので……ぁっ」
結局白状してしまったことに、口を塞ぐも既に遅し。
そんなアカリをみて白花は口を緩めて穏やかに笑う。
「私のために怒ってくれてありがとう、アカリ」
アカリは自分の感情に素直なところがある。それは白花の悪口やらに対してなので素直に嬉しい。
自分が沸点が高くてなかなか怒りという感情が湧いてこない分、彼女が怒ってくれるのがありがたいと思っているのだ。
「……すみません。この短気な性格を直さなくてはって思っているんですけれど、なかなか……」
「いいの。私、アカリの豊かな感情を見るのって好きだから」
「白花様はもっと怒っていいんですよ? ……まあ、怒っている白花様って想像出来ませんけれど」
「私も自分で想像できないわ」
自分で言っておかしくなってつい笑ってしまい、アカリも「そうですね」と一緒に笑ってくれた。
アカリが髪の逆立てながら細い目をつり上げて、ぷんぷんしている。
結構怒りっぽいアカリは、一日に一度はぷんぷんして頭から湯気を出しているせいか、慣れっこになってしまった白花だ。
今日も何か、癇に障ったことがあったのか、ぷりぷりしながら白花の元へきた。
「今日は何に怒ってるの? アカリは」
白花が苦笑しながら尋ねる。
確か昨日は「神使の兎たちに隠しておいた金箔入りのお酒を呑まれてしまった」だった。
一昨日は「神使のうさぎたちが、白花様が作った工夫して作った水引の髪飾りを持って行って無くしてしまった」だった。
と大抵、兎たちとの攻防の末だが。
とにかく辻結神社の神使たちは悪戯ものが多いらしく、荒日佐彦も悪戯されて気を揉んでいた時期があったと聞いている。
――それで白花は初対面で彼に怒鳴られたという経験をした。
そんなことからアカリの本日の怒りも、神使によるものだと思い尋ねたのだ。
しかし今日は違うのか、白花から視線を逸らしもごもごと口を動かすだけだ。
「どうしたの? また兎たちに悪戯されたんじゃなくて?」
「いいえ、今日はまだです。またよからぬ事を考えていると思いますが」
と言うくらいだから、兎たちに対して警戒は解いていない。
「私には言えないことなのかしら? 愚痴くらい聞いてあげられると思うわ」
「白花様にいつも愚痴を聞いてもらっていて、感謝するくらいでは足りないくらいです! ……でも、今回は……」
アカリの言い方にピンときた。
「もしかしたら、私に関してかしら?」
フルフルと首を横に振っても、顔を青ざめているのだから説得力がない。
なので更に追及する。
「私のことでアカリは怒っているのね?」
「いいえ! 白花様に怒っているのではなくて、白花様のことを悪く言う人間に怒っているので……ぁっ」
結局白状してしまったことに、口を塞ぐも既に遅し。
そんなアカリをみて白花は口を緩めて穏やかに笑う。
「私のために怒ってくれてありがとう、アカリ」
アカリは自分の感情に素直なところがある。それは白花の悪口やらに対してなので素直に嬉しい。
自分が沸点が高くてなかなか怒りという感情が湧いてこない分、彼女が怒ってくれるのがありがたいと思っているのだ。
「……すみません。この短気な性格を直さなくてはって思っているんですけれど、なかなか……」
「いいの。私、アカリの豊かな感情を見るのって好きだから」
「白花様はもっと怒っていいんですよ? ……まあ、怒っている白花様って想像出来ませんけれど」
「私も自分で想像できないわ」
自分で言っておかしくなってつい笑ってしまい、アカリも「そうですね」と一緒に笑ってくれた。