空模様に左右される君とされない私
 不穏なぶ厚い雲が、朝から頭上を覆っていた。


 いつ降り出してもおかしくない、と思っていたけれど、お昼前には地面を叩き始めた。


 放課後になっても止む気配はなし。


 靴箱から取り出した靴を手にしたユイが、外の様子を覗いて絶望したようにぼやいた。


「うわー、また靴が濡れそう。昨日せっかく乾かしたのに」

「でも、『来週末には梅雨明け』だって」


 私は、今朝お天気お姉さんから仕入れた情報をそのまま伝えた。


「ホント? 体育も跳び箱とマット運動ばっかで飽きたし、梅雨が明けるのが待ち遠しいなー」


 ユイは恨めしそうに空を見上げる。


 校舎から出る直前、私たちは同時に傘をひらいた。どちらも無地のネイビーだ。


 校則で『無地のもの、色は黒または紺』と指定されているから、私たちに限らずみんな似たり寄ったりの地味な傘を使っている。

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