空模様に左右される君とされない私
今日みたいな暗い日にこんな傘をさしていると、校舎ではなく雨雲から吐き出されたみたい。
そんなことを考えながら雨雲を眺めていると、こんな天気の日は体調大丈夫なのかな……という心配が浮かび上がってきた。
しばらく歩いていると、ユイが前方の一点を見つめながら訊いてきた。
「ねえ、あれってソウスケじゃない?」
その名前はちょうど今胸を占めていた心配の対象で、あまりのタイミングのよさにドキッとした。
まばらに歩いている学生の中にソウスケがいるのを、私も遅ればせながら見つけた。
ユイは私の動揺には気づかないまま、続けた。
「相変わらず雨の日はひとりだね」
ソウスケはだるそうに、ゆっくりと歩を運んでいた。
「今日も自律神経が乱れてんのかねー?」
「たぶん、そうなんだと思う」