空模様に左右される君とされない私

 私たちの会話を漏れ聞いた女子たちが集まってきた。


「可哀想ー」

「私たちにできることがあったら何でも言って」

「ありがとう。でも雨が止んでくれるのを待つしかないから、気持ちだけで十分」


 東堂くんは弱々しく微笑んだ。


「でも……」

「何でも言ってくれていいんだよ?」


 食い下がられて、東堂くんは眉尻を下げた。


「だったら……」


 女子たちは『うん、うん』と頷いた。


「大勢の話し声が頭に響くとツラいんだ。そうっとしておいてくれると助かる」


 東堂くんは、雨に濡れそぼってシッポが真下に垂れた犬みたいだった。


 言い難いことを言わせてしまったことに気づいた女子たちは、決まり悪そうに散っていった。


 私もそのときは、それきり口を閉じたのだった。
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