空模様に左右される君とされない私

 どうやら私は最初に『いいね』と褒め言葉をもらったことで、期待してしまっていたらしかった。


「それって褒めてなくない?」

「俺は褒めてるつもり。低音で頭に響かない」


 そう、私の声は低くて可愛くないのだ。


 何だか微妙な褒められ方……


「あと、いつも話す速さも一定だよね。少しゆっくりめで」


 たしかに私は、早口言葉が少しも早くないことには定評がある。


 でもそれって、果たしていいことなのか……


「ほ、ホントにいいと思ったんだ。丁寧で。聞いてて落ち着いた。心地よかった」


 東堂くんは訝しがる私に、痛いはずの頭で考えて弁明を紡いでくれた。


 そんな東堂くんを眺めていると、純粋に私の声をいいと思ってくれたことが伝わってきた。

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