〜秘書室の悪魔とお見合いしたら〜after storyハネムーン編〜
 本格的なカナダ料理をモダンに仕上げた高級料理は、どれも見た目が色鮮やかで、盛り付けにも魅せられた。

 それからシャワー後、ふたりでソファーに並んでガイドブックで明日の予定スポットを確認していると、隣の智秋さんがつぶやく。手にはスマートフォンを持っていて、該当地域のものを見てくれている。
 かき上げた髪がさらりと額で揺れる様がとても綺麗だ。

「景色を見る予定もあるし、天気に恵まれるといいですね」
 
 智秋さんが興味深そうにしていた図書館や、観光名所として有名なCNタワーや水族館を周る予定だ。移動には地下鉄を経由する予定だが、せっかくだから道中の晴れやかなトロントの街並み堪能したい。
 
「そう言えば、クリスからさっき連絡がありました」
 
 再びガイドブックに視線を落とそうとした時、智秋さんがふと思い出したようにつぶやく。
 
「クリスから?」
「ええ、最終日のクルーズの件で、ちょっと同行者がいるとか」

 ……同行者?

「泉さんですか……?」

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