〜秘書室の悪魔とお見合いしたら〜after storyハネムーン編〜
 泉さんは智秋さんの弟で、現在LNOX社の専属の経営コンサルをしている。会えるかと期待していたのだが、ニューヨーク社に戻らなければならないとか智秋さんから聞いたような……

「いや、違う」
 やっぱり。
「なら――」

「ふっ……とりあえず、それについてはまた詳しく説明しますよ」
 
 智秋さんはそういい切ると、私の手を取って立ち上がる。

「明日からは忙しいから、沢山遊べるよう、今夜はもう休んで備えたほうがいいでしょう」

 おそらく急な同行者とは、レノックスおばさんとか、ダニエル会長とか、その辺りだろう。

 彼の言う通り時間も割かし遅く、そろそろ布団に入らないと明日に響く。
 笑顔で頷くとそのまま、ベットルームに導かれ布団にもぐった。

 部屋は、ゆったり特別な夜を過ごせるよう、広いスイートルームの間取りだった。エレガントで趣のあるインテリアが並び、寝室にはうちよりも大きなキングサイズベッドが鎮座している。高層階ならではのシティービューが可能な部屋だ。
 
 この日は長旅の疲労もあって、智秋さんの腕に包まれたらすぐ眠ってしまった。

 
 ◇


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