離縁前提の結婚ですが、冷徹上司に甘く不埒に愛でられています〜after storyハネムーン編〜
「俺の大学はヨーロッパ圏内ですし、同行で訪れたのもモントリオールとバンクーバーでしたね。永斗さんと欧州にいたときだから、もう何年も前ですけど」

「モントリオールはヨーロッパみたいな街並みだと聞いてます」
「北米のパリと言われてますね」

「フランス語がもう少し堪能になったら、いきたいです」
 
 意気込む私に智秋さんが「あそこはマルチリンガルなので、さほど困らないと思うけど」と小さく笑った。

 壮大なパノラマをバックに微笑む智秋さんは、とても晴れやかで楽しそうで、私まで幸せな気持ちになった。


 ひとしきり景色を観覧した後、地下鉄を利用しトロント内で最も大きいと言われる図書館――パブリックライブラリーへと移動した。

 駅を降りて徒歩数分。地上五十階建ての天井が吹き抜けになったレンガ調で解放感満点のラグジュアリーな建物は、とても迫力満点で威厳を感じた。
 
「帝国図書館とは違いますね……。規模が大きい」

 一階部分は、沢山の人が出入りする憩いの場になっていて、本の貸し借りは、住所を提示すれば出来るらしい。旅行者の私たちは、読書をするだけに留め広大な館内を自由に散策した。

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