離縁前提の結婚ですが、冷徹上司に甘く不埒に愛でられています〜after storyハネムーン編〜
 それもあって、私たちにイベントを見せたいことから、ここへのご招待が決まったのだとか。

 ――だけど……その前に。
 約束の時間、巨大なボートを前にした乗り場にて、私はポロリと目を落っことしそうになってしまった。

「「あなたは、昨日の……」」

 指さし合った私たちの声が重なった。

「おや? サクラ、知り合いかい? 彼女は、うち(LNOX)の懇意先のご令嬢の、ミア。クリスの……友人なんだ」

 クリスとミアは、親しい訳では無さそうだが、会うのは初めてではないらしい。きっと親を通して何度か顔を合わせたことがあるのだろう。少しだけいい迷ったおじさんの声を聞きながら、おじさんとクリスに昨日あったことを告げミアと握手を交わした。

「また会えて嬉しいよ、よろしく、ミア」
「こちらこそ、昨日はありがとう、サクラ」

 智秋さんの言うとおりだ……。


 ――昨夜の智秋さんの話しを思い出す。
 
『え? クリスの縁談相手――⁉……もごっ』

 昨夜。就寝前。
 聞いてすぐに色気とは程遠い声を上げた私は『声が大きいです』と口を手で押さえられたのだった。
 
 そして、彼は教えてくれた。

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