離縁前提の結婚ですが、冷徹上司に甘く不埒に愛でられています〜after storyハネムーン編〜
『クリスから話を聞いたときですが――』

 クリスの話によると、お節介でお馴染みのダニエル会長は、またまたとっても迷惑な計らいをしてくれたらしい。
 本来クリスに政略結婚の持ち上がったミアの祖父は、ダニエル会長と昔からの経営仲間だと聞く。その間で、今から私たちが見に行こうとしているナイアガラ事業について携わってる話をしたところ、随分と興味を示していたそうだ。
 そこから、瞬く間にあれよあれよと事が運び――

 意気揚々と告げられたのは、以前、政略結婚を進められていた女性……ミアが、その世にも美しいナイアガラを見たがっていると言う事。
 それでもって、レノックスおじさんとクリスがトロントで打ち合わせのあった今日に、予定を無理くり捩じ込んできたのだとか。
 
『はじめから結婚を視野にいれるのではなく、若者同士交流を深めればいいだろう』

 まぁ、老人たちの合作と言うべきか。
 政略結婚の話は、あれ以来影が薄れたようだが、話を聞くに、完全には諦めてはいないに違いない。
 口にはしないだけで、〝あわよくば〟という香りが、ぷんぷん香ってくる。
 
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