〜秘書室の悪魔とお見合いしたら〜after storyハネムーン編〜
 とはいえ、彼女から昨日のあんな事情を聞いてしまうと応援したくなってしまうのだけれど――

 そして、智秋さんが彼女がその相手だと気づいた理由については、一度だけ、クリスからの電話で政略結婚相手側の企業名を聞いたことがあったそうだ。もちろん、情報に抜かり無い彼は、彼女について調べたそう。
 
 ……情報社会の現在は、社長令嬢ともなれば、場合によってはインターネットなどで顔写真が出てきてしまう世の中だ。

 クリスからそんな予告をうけていたこともあり、また彼女の一般人とはどこか違った様子もあって、勘の鋭い彼は気づいてしまったようだった。


 二階建ての巨大ボートには、私たちだけではなく、他レノックス社の企業関係者を受け入れているらしい。出発までの十分ほどの間で二十名ほどが集まり、ゆったり夜のナイアガラの滝へと出発した。
 智秋さんはしなやかな体躯を上品なグレーのシャツと黒のボトムに包んでいる。
 私も隣に立つことを意識して、品のあるラウンドネックのトップスとハイウエイのボウタイパンツで、まとめてきた。
 昼とは違ったヒンヤリした風が頬をなで上着は手放せない。

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