離縁前提の結婚ですが、冷徹上司に甘く不埒に愛でられています〜after storyハネムーン編〜
「ミア、今日はうちの祖父が、いきなり誘ったんだろう? ごめんね」

 出発してすぐ、クリスがミアを気遣った。
 ミアの栗色の長い髪が風になびき、清楚な白いワンピースがヒラヒラ揺れている。とても可憐で可愛らしいと思った。

「いえ……私が自分から行きたいって言ったの」
「キミは優しいんだね」
 
 戸惑ったミアの頬が目に見えてボンと赤くなったが、もちろんクリスは気づかない。

「ちょっと挨拶してくるね。現地までは少し時間かかるから、のんびり過ごしてね」

 クリスはそう私たちに言って、おじさんのところへ行ってしまった。


「――好きな人って、クリスなんだね……」

 クリスの背中を見届けたあと、私はミアにこっそり声を掛けると、ミアは恥ずかしそうに、昨日のことを交えながらこれまでの心の内を明かしてくれた。

「ふふ……まさか、ふたりと再会して、こんな形でバレるとは思わなかったわ」

 昨日、サービスカウンターにいってから、お付きの女性とすぐに再会できたそうだ。
 今日は乗り場付近で彼女の帰りを待っているそう。
 
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