離縁前提の結婚ですが、冷徹上司に甘く不埒に愛でられています〜after storyハネムーン編〜
 挨拶をお願いした会長が途中感極まり言葉を詰まらせたり。
 少し前にパパになった藤森さんが、酔っぱらって「子供は可愛いんだぞ~」と智秋さんにしなだれかかって、ずっとうんちくを語っていたり。 
 智秋さんもいつもの感情を表に出さないような、落ち着いた表情でありながらも、ほんの少し口角が上がっていてとても楽しそうに見えた。私ももちろん、楽しかった。

 そして、その夜はもちろん、特別な夜をふたりで過ごした。
 隣接するホテルのスイートルームを取って、とてもロマンチックでラグジュアリーなベッドルームに、シャワーを浴びたあとそっと導かれた。

『……ようやく、あなたが手に入ったような気がするな』
 
 キスのあと私を組み敷いた彼は、とても穏やかで幸せそうな表情をしていて……いつも以上に胸がキュンと締め付けられた。
 
『……私は、はじめから、智秋さんしか見ていませんよ』
『これ以上、煽るな――』
『ぁあっ……』
 
 長い指先が全身を這い、蕩けるようなキスが降り注いだ。繋ぎ止めていた理性がいとも簡単に断ち切られた。
< 3 / 64 >

この作品をシェア

pagetop