離縁前提の結婚ですが、冷徹上司に甘く不埒に愛でられています〜after storyハネムーン編〜
「伝える勇気がなくても、友達にならなれるかもしれない。これが最後じゃなくて……先に繋がることもあるんじゃないかな――」

 この件に私が口を挟んではいけない立場なのは分かっている。それでも。 
 私は智秋さんへの片思いをずっと諦めていて、踏み出そうとしてこなかった。
 でも、もう終わってしまうと思って飛び込んだ世界は、自分が思っていたものとは、正反対たったんだ。
 ミアにも、ほんの少しでいい。一歩だけ踏み込んでもらいたい。巡ってきたチャンスを、逃さないでほしい。最後だなんていわずに。そこに待っている世界は、ミアが思ってるよりも、キラキラしていているかもしれないから――

「……ありがとう、サクラ。あなたはとても強いのね」

 そのとき、ミアの語尾に被せるようにして、クリスの陽気な声が割って入ってきた。
 
「おまたせ~!」
 
 私とミアが、びっくん! っと肩を弾ませる。すると、クリスは智秋さんに絡みつきながら首を傾げる。

「? どうしたの? もうすぐポイントに到着するからね、レインコート持ってきたよ~」
 
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