離縁前提の結婚ですが、冷徹上司に甘く不埒に愛でられています〜after storyハネムーン編〜
……え? ギョッとした。ち、智秋さん……?
急なバッサリ切捨てるような言葉にミアも戸惑っている。だけど智秋さんは止まらない。
「面と向かって言われたわけでもないのに、行動する前からその調子では、その程度の気持ちだったのかもしれません。あなたも私生活で冴えない地味なクリスよりも、年頃の近い若い男との縁談を貰ったほうが安泰でしょう」
――ち、ち、ち、ちち、ちあきさん……?
いきなりの煽り立てるような言葉たちに、私も動揺を隠せない。
それもさりげなくクリスを地味で冴えないってディスっていませんでしたか……?
嘘ではないけれど。
でも、一瞬遅れて私にも智秋さんの意図が伝わってきた。
あ、もしかして――
「あなたに相応しい人が――」
「――いや……っ!」
がばっとミアが私たちを振り返って、現状を指摘していた智秋さんを涙目で見つめる。
「その程度なんかじゃないわ……。はじめて会った日から優しいクリスがずっと好きで、今日だって諦められなくてここまで来たの……。見た目なんてどっちだっていいし、クリスであることに変わりないんだからっ……く、クリスじゃなきゃ……いやよ……」