離縁前提の結婚ですが、冷徹上司に甘く不埒に愛でられています〜after storyハネムーン編〜
 そこへ、二階にいるおじさんが、さっきから景色そっちのけの私たちを笑って、前方を指差した。ずっとこちらを見ていたらしい。

 そこには、目の前に迫ったナイアガラの滝が、船を囲むように水しぶきを上げていた。

「わぁ……すごい!」

 ――でも、それだけではない。
 
「ライトアップ……!」
「……壮大ですね」
 
 水面のあらゆる方向から七色の光が差し込み、激しいナイアガラの水流を透かしている。無数の水流がキラキラ反射して、それに合わせてまたライトの光も
縦横無尽に動き、宝石が散り散りになっているみたいだ。

 大自然の力を借りた圧倒的で、大迫力のショーに……しばし呼吸をするのも忘れてしまう。
 
「……水が、生きてるみたい」
 
 うっとりとため息が零れる。
 少し先では、クリスとミアが並んで魅入っているのが見えた。
 
 ――レノックスおじさんが自慢したかったのは、これだったんだ。


「桜さん」
 
 みんなが目の前の光景に魅入っている中、智秋さんがそっと顔を寄せてきた。
 視線を合わせると、智秋さんはふいに口にした。

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