離縁前提の結婚ですが、冷徹上司に甘く不埒に愛でられています〜after storyハネムーン編〜
 でも、こうして心配そうな智秋さんを前にすると、少し心苦しくなってくる。

「嘘ついてすみま……――ひゃっ……!」
 
 だけど、謝罪の声は最後まで続かなかった。

「え? 智秋さん……?」

 体がふわりと浮いて、慌ててしがみつく。なぜか智秋さんに子供のようにひょいと抱えられていて、どこかへ向かっている。
 
 ――いや、どこかって、もうこの状況、ひとつしかないんだけれど……

「まだ濡れているんでしょう? なら、早く温まった方がいい」

 ――……やっぱり。
 
「俺が隅々まで、温めてあげましょう……」
 
 そして、なんとも魅惑的な予告が続き、きゅうっとお腹の奥が熱くなる。

「ア、アタタメルッテ……」

 それって、一緒に入るってことだよね……?

 恥ずかしいと口にする前に、化粧台の上に座らされ、智秋さんがシャツのボタンを外し脱ぎはじめる。
 引き締まった体が露わになると、私はもうドキドキして何も言えなくなる。
 今まで何度か一緒に自宅のバスルームで入ったことはある。でも、そうすると大抵、明るいライトの下で、見せつけるように愛撫され、啼かされてしまう。 
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