離縁前提の結婚ですが、冷徹上司に甘く不埒に愛でられています〜after storyハネムーン編〜
その後のふたり1
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――ハネムーンから帰国して、ひと月。
私たちは、変わらず慌ただしい日々を過ごしている。
でも、今日は……そんな中でも、ちょっととした勝負の日だった。
「夢じゃない……」
退勤後、帰宅してすぐ。
トイレから出た私は、頬をつねってぽつりとつぶやく。
……ほんとうに、信じられなかった。夢かと思った。
私が持っている妊娠検査薬の窓口には、くっきりと陽性ラインが刻まれている。
手にしたまま、思わず呼吸が震えた。
――ここのところ毎月同じ日に来ていた生理が遅れているとは思っていた。
でも、幾度となく期待しては、それが打ち砕かれ落ち込むことが何度かあった。
だから、あまり期待しないようにしていたのだけれど――
待ちに待った結果に……どう喜びを言い表せばいいのかわからなかった。