離縁前提の結婚ですが、冷徹上司に甘く不埒に愛でられています〜after storyハネムーン編〜
「――ただいま」
部屋の真ん中で立ち尽くしていたそのとき、タイミング良く千秋さんが帰ってきた。
すぐさま玄関に駆けつけ、仕事帰りのスーツ体にそっと抱きついた。
「さ、桜さん……?」
千秋さんは戸惑いながらも、突然抱きついていきた私を抱きとめてくれた。
「いきなりどうしたんですか……?」と覗きこんできた彼に、後ろ手に隠していた検査薬を、おそるおそる見せた。
「え……」
千秋さんは、じっと見つめたまま、固まった。
「私たちの元にも、とうとうやってきてくれたみたいです……!」
ちょっぴり興奮気味に、喜びを噛み締めながら口にした。
だが、千秋さんはピクリとも動かなくなってしまった。
「千秋さん……?」