離縁前提の結婚ですが、冷徹上司に甘く不埒に愛でられています〜after storyハネムーン編〜

 あれ……?
 
 てっきり「良かった」と手を取り合って喜び会えると思っていた私は、はらりと冷や汗が背中を伝う。

 も、もしかして、嬉しくなかった……?
 ――いや、そんな訳はない。

「今月もダメだった」といつも肩を落とす私を、心から慰めてくれていた。
 早く授かるといいですね、とも言ってくれていた。

 だから――

 動かなくなった彼から、数歩離れた瞬間。
 もう一度聞いてみようとした私の前で、
 へなへなと、智秋さんが崩れるようにしゃがみ込んだ。
 
 そして、大きくと息を吐きながら、顔を手で覆った。

「…………すごく、嬉しいものだな」

 困ったように、でもものすごく嬉しそうにはにかむその顔は、私以上に、とてもとても嬉しそうだった。

 ちあき、さん……

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