離縁前提の結婚ですが、冷徹上司に甘く不埒に愛でられています〜after storyハネムーン編〜


 しばし呟いたあと、なにやら仕事用のスケジュール帳を取り出し、黒い笑みを携えながら呪文を唱え始めたので、慌てて誤魔化した。

「えっと~、まあ、例え話ですよね……例え話……?」

 永斗社長のスケジュールに、なにやら支障をきたしてしまいそうだ。

「当たり前です……。生まれてきたら、たくさん愛情かけて育てるんです。うちから出たいと思わないかもしれないでしょう?」

 智秋さんは手帳を手にしながらも、私を見つめて真っ直ぐ言い切った。

 ――なんていうか……智秋さん、そこまで思ってくれていた?

 男性は、子供が生まれてから、父親だと自覚する人が多いと言われているけれど、智秋さんの我が子への愛情は、すでに私には測定不可能なくらい大きいようだ。

 いや、振り返れば、もう普段の過保護な様子から、わかりきっていたことなのかのしれないけれど。
 
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