離縁前提の結婚ですが、冷徹上司に甘く不埒に愛でられています〜after storyハネムーン編〜
ハネムーンの翌年の三月に生まれた私たち娘――芽依は、今年で四歳になった。
千秋さんの過保護っぷりはお腹の大きさと共に増していったけれども、その甲斐あって順調な妊娠期を送った。
出産は私の小柄な体格の兼ね合いで予定日の少し前に帝王切開だったけれど、無事にこの腕に抱くことができた。
『小さくて、壊れてしまわないか心配です……』
産まれたばかりの芽依を抱いた千秋さんは、目を潤ませながらそう呟いて、我が娘を静かに見つめていた。
その後ふらりと去って再び病室に戻った彼の目はどことなく赤かったけれど、私も胸がいっぱいで、今にも泣いちゃいそうだった。
ちなみに、『芽依』という名前は千秋さんの提案からもらった。
芽の出始めのような、無限大の可能性のある人生になって欲しいと、願って提案したのだそうだ。
「とても素敵な名前ですね」、と伝えたら、嬉しそうに目を細めていた。