離縁前提の結婚ですが、冷徹上司に甘く不埒に愛でられています〜after storyハネムーン編〜
産後もこれと言った大きな問題もなく、順調だった。
育児に関しては初めてで、さすがの千秋さんもあたふたすることはあった。だが、二人ともそれ以上に楽しんでいたと思う。
『千秋さん、千秋さん! 今日、芽依が初めて寝返りを成功して――』
『動画は? 撮影してる?』
芽依がひとつできることに声を上げて喜びあって。
『芽依はあなたに似て、よく笑いますね。ころころ表情が変わって……将来が心配だ』
『それはつまり、〝可愛い〟……ってことですか?』
『ふふっ……秘密です』
無邪気な笑顔を見ては心が癒されて。
『……最近、朝見送りができなくて、すみません』
『何でそんな泣きそうな顔しているの――おいで』
心が不安定で苦しくなったときには、千秋さんにひたすら抱きしめもらった。
『おい國井、復帰はいいが、くれぐれも無理すんなよ?』
二歳になる頃に、職場に復帰して。
『芽依の誕生月には、家族で旅行をしませんか?』
『行きたいです!』
休みの日には、三人でいろんなところへ出かけて。
『最近、あなたが不足して、そろそろ限界なんですが――』
たまにお互いの実家に手を借りて息抜きしたり。
成長を喜んで。悩んで。笑って……
――あっという間の四年間だった。