俺様な彼は愛しい彼女を甘やかしたい
「美空」

下を向く私を呼ぶ大地の声は甘い。
顔が熱くなっているのを感じる。

「こっち向いて」

「む、無理!」

恥ずかしすぎる。
急に心臓がものすごいスピードでなっている。
待って待って。
こんな事なるんだっけ?

ならないよね?
こんなの初めてだ。
久しぶりだからとかじゃない。

すると大地の大きな両手が伸びてきて私の顔を包むとグイっと持ち上げられた。

目が合う。
ヤバいって。
今絶対私顔真っ赤だよ。

「ふっは。顔真っ赤」

「う、うるひゃい」
(う、うるさい)

「本当に。かわいいな」

目を大きく開けた。
かわいいって…

今の私は、着古したジャージをきてすっぴんで瓶底メガネだ。
さっきまでヘアバンドをしてたから、短く切った前髪はたぶん扇子みたいにビョーンと立ち上がっている。
< 127 / 268 >

この作品をシェア

pagetop